止まらない東芝「事業切り売り」 残るは原発、「社会インフラ事業」だけ

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   東芝の「解体」が止まらない。稼ぎ頭の半導体事業を売却する方針に加え、2017年3月3日にはグループの工作機械メーカー、東芝機械の株式も手放した。

   60%を出資するスイスの次世代電力計(スマートメーター)大手、ランディス・ギアの株式売却も検討されており、東芝の「切り売りリスト」に連なる事業は増える一方だ。

  • 東芝には何が残るのか(写真の東芝ビルディングは同社ウェブサイトから)
    東芝には何が残るのか(写真の東芝ビルディングは同社ウェブサイトから)
  • 東芝には何が残るのか(写真の東芝ビルディングは同社ウェブサイトから)

白物家電は中国・美的に、医療機器はキヤノンに...

   「グループの中核企業の一つだったのに......」。東芝は3月3日、保有していた東芝機械の株式20.1%のうち、18.1%を売却した。東芝関係者は、まもなく創業80年を迎える名門企業がグループから外れたことにため息をつく。

   東芝機械は1938年創業。芝浦製作所(現東芝)の工作機械部門がルーツで、鋳物を大量生産するダイカストマシンで高いシェアを持つ。2016年3月期の連結売上高は1172億円。東芝の連結売上高(5兆6686億円)に占める割合は2%程度だが、純利益は48億円と堅実に利益を稼ぎ出す優良企業だ。

   しかし、親会社の東芝は米原発事業で7000億円超の巨額損失を抱え、2017年3月末に債務超過に陥ることが確実。資本増強に向けて「売れるものは何でも売らなければならない」(東芝幹部)状況だ。東芝機械は親会社の苦境を救うため、東芝が放出した自社株を買い入れ、東芝は55億円の売却益を得た。

   東芝の身を切る決算対策は今に始まったことではない。15年の不正会計問題を受けて経営が悪化し、16年3月期中に、昭和初期に電気洗濯機を開発するなど歴史と伝統を持つ白物家電事業を中国家電大手の美的集団に、将来性が高く東芝の屋台骨になると期待されていた医療機器子会社もキヤノンに、それぞれ売り払った。経済官庁幹部は「成長が見込める医療機器事業を売った時点で、東芝は終わっている」と、決算対策のために主力事業を切り売りせざるを得ない東芝の現状を嘆く。

   そして、稼ぎ頭の半導体事業を分社化した「東芝メモリ」も、3月中に売却先を決める1次入札が行われ、過半数の株式が売られる見通しだ。台湾の電子機器受託製造サービス大手、鴻海(ホンハイ)精密工業などが買収に強い意欲を見せている。東芝は当初、半導体事業の経営権を握り続けるため、売却する株式を2割未満に抑えたい意向だったが、東芝幹部は「本体の存亡の危機であり、半導体の経営権にこだわってはいられない」と苦渋の表情を見せる。

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