民進党の蓮舫代表は2017年3月12日、東京都内で開いた党定期大会で、「原発ゼロ基本法案」を国会に提出する意向を表明した。次期総選挙までの提出を目指し、原発を重要な「ベースロード電源」と位置付ける与党との差別化を図りたい考えだ。ただ、当初発表を予定していた「2030年までに」という時期には触れなかった。
記者会見では、10日に政府が南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)からの自衛隊撤収を表明した件にも「まったく納得がいかない」と述べた。学校法人・森友学園への国有地格安払下げ問題で政府が揺れる中での撤収で、「何らかの『アリバイ作り』のように見えてしまう」と疑問視した。現執行部で定期大会が開かれるのは初めて。
「再稼働まっしぐら、原発依存へ逆まわりの現政権と違う未来を」
蓮舫代表があいさつの中で重点的に触れたのはエネルギー政策だった。バイオマスエネルギーで循環型の経済システムが構築され始めた岡山県真庭市の例をあげ、「新しい技術、国民の努力によって、グリーンエネルギー革命は相当加速化してきました」との認識を示し、「再稼働まっしぐら、原発依存へ逆まわりの現政権と違う未来を民進党は描いていく」として、
「私たちはすでに省エネ、再エネを加速するための関連法案を国会に提出している。実現したい未来を国民に伝えていきたいと考えている。再エネ、省エネの進捗具合をリアルに見つめ、何ができるかを精力的に議論・検討し、我々は原発ゼロ基本法案を国会に提出することを確認した」
と表明。国際的なエネルギー情勢や、国際社会との関係、使用済核燃料の処理と関係自治体との協力関係も、真剣に議論していくとした。
一方で、原発ゼロを実現する時期として「2030年代」から「2030年」へと前倒しする点を当初明示する予定とされていたが、党大会では明確な時期は示されなかった。この理由について蓮舫氏は記者会見の中で、
「我々は二大政党制と、政権交代を実現する政策集団。リアルな、実現可能な法案の中身を探っていただいて、そのうえで前倒しが実現可能となるように、そこをめざして法案をつくっていこうと思っており、民進党の仲間が専門性の高い見地から議論していくことになると思う」
と述べ、「前倒し」の方向性を強調した。国会提出時期については
「デッドラインと言いますか、次の総選挙までにという大きな目標を掲げていますが、常在戦場、いつ総選挙になるかわかりませんので、とにかく作業を急いでもらいたいとお願いしたところです」
と述べ、次期総選挙がメドになるとの見方を示した。