「ペンライト」の携帯で有罪認定した裁判例も
岩沙好幸弁護士によると、過去「ペンライト」の携帯を軽犯罪法違反として有罪認定した裁判例が1986年1月13日の東京地裁判決に存在する。そのため
「懐中電灯も、客観的な携帯の態様(隠していると言えるかどうか)、犯人の逮捕前の挙動(他人の邸宅等へ侵入する素振りがあったかどうか)、携行する正当理由があったかどうか(業務上の必要性など)を総合考慮し、軽犯罪法上の侵入具と認定される可能性は十分にあるでしょう」
と話している。
同条項で具体的に定めがある「器具」は「合かぎ」「のみ」「ガラス切り」で、あとは「その他他人の邸宅又は建物に侵入するのに使用されるような器具」とされている。懐中電灯以外にもこれに該当しそうな物として、ネット上ではドライバーセットや金属バット、護身用ナイフなどがあげられていた。岩沙弁護士はこうした物について次のように話す。
「裁判例でこれらの『器具』として認定されたものは、ハンマー、タイヤレンチ、金槌、ニッパー、スパナ、ボルトカッターなど様々です。したがって、サイズ・形状次第ではありますが『ドライバーセット』『金属バット』『護身用ナイフ』についても、正当な理由なく携帯していると同法に該当する可能性はあるでしょう」
同条項では「器具」のサイズの基準は定めがないが、「『隠して携帯』とあることから、隠して携帯することが困難な大きな器具は除外されるのではないかと推測されます」という。
ただ、同条項違反を認めるには条文上「正当な理由がな(い)」ことが必要だ。逆に、「正当な理由のある懐中電灯の携帯」としてはどんな状況が考えられるかを岩沙弁護士に聞くと、こう話した。
「例としては『夜間、土木工事に従事する者が対向車に自己を知らせる手段として懐中電灯を現場で携帯していること』などが挙げられます。また、『遠出をして散歩しようと、鳥目で夜間に視野が著しく迫る身体的特徴を持っている者が、帰宅が夜間になる場合に備え、いつでも取り出せるよう懐に懐中電灯を持っていた』場合も正当な理由と言えるでしょう」