ホンダが1981年に世界で初めて商品化したカーナビゲーションシステムが、技術分野の歴史的な業績をたたえる米電気電子学会(IEEE)の「IEEEマイルストーン」に認定された。
ホンダが2017年3月2日、発表した。カーナビシステムが世界中に普及し、その世界標準を築いたという功績が認められた。自動車産業界での認定は初だという。
ホンダの「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」
認定されたのは、ホンダが1981年に発売したアコードなどに搭載されたカーナビシステム「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。車の移動方向や移動距離を検知するセンサーやマイクロコンピューターなどを組み合わせて現在位置を計算し、モノクロのブラウン管ディスプレーに表示していた。当時は地図データを記録してディスプレーに表示するのが難しく、地図が描かれた透明なシートをブラウン管ディスプレーの前面に手動で挿入し、ブラウン管の光で透過させて走行中の自車の位置と方位、走行軌跡を表示してドライバーのルート選択を容易にした。
現在のカーナビシステムはGPS(全地球測位システム)を使っており、ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータは『ご先祖様』のような存在だと言える。
今回、2日に東京都内のホンダ本社で開かれたIEEEマイルストーンの記念式典では、出席したIEEE会長のカレン・バートルソン氏が「今はGPSを使ったナビゲーションシステムがスタンダード。しかし、ホンダのこのマイルストーンが全ての始まりだった」と賞賛。一方、ホンダの八郷隆弘社長は「この技術が基盤となり、今の自動運転技術の開発にもつながっている」と話した。
「おお、懐かしい」「認定、おめでとう」
IEEEは米国に本部を置き、電気・電子・情報・通信分野における世界最大の学会。IEEEマイルストーンは開発から25年以上経過し、地域社会や産業の発展に多大な貢献をしたとされる歴史的業績を認定する制度。1983年に制定されて以来、2017年2月までに世界で174件が選ばれている。
日本企業で認定されるのは30件目。過去には東海道新幹線(2000年JR東海)、黒部川第四発電所(2010年、関西電力)などが認定された。
ホンダのこのニュースを受け、ネット上では「地図が画面表示でなく、シートとは時代を感じる」「おお、懐かしい」「認定、おめでとう」「地図を手で入れ替えていたとは」といったコメントが並ぶ。