九州看護福祉大学(熊本県玉名市)と熊本市民病院の共同研究グループは、受動喫煙の実態や健康増進法の改正について行った意識調査の結果をこのほど発表した。
それによると「飲食店は原則禁煙」など受動喫煙対策の強化を盛り込んだ厚生労働省の同法改正案に73%が「賛成」を表明、禁煙になった飲食店に「行く回数は増える」と答えた人が「減る」と答えた人を大きく上回った。
九州看護福祉大などの共同グループ、最大規模で実施
調査は2017年2月15日から20日までの間に、インターネットによる無記名自記式のアンケート調査より行われた。対象者は約100万人のモニターのなかから、日本の人口構成の特徴を考慮し、性別、年齢、居住地域に基づき層化無作為抽出法により計1万51人をサンプリングし、男性4971人(49.4%)、女性5080人(50.5%)。このうち、習慣的に喫煙している人は1731人(17.2%)で、それ以外の人は8320人(82.7%)。
研究グループによると、受動喫煙に関するわが国の学術調査として対象者数は過去最大で、健康増進法の改正をめぐっては最新の意識調査。調査結果は17年3月2日に発表された。
厚労省の改正案で反対が最も強く示されているのは「飲食店は原則禁煙」の部分。調査で「料理,飲み物,接客態度は優れているが喫煙可能だった飲食店が,禁煙になったらあなたはどうしますか」と尋ねたところ、「利用する回数・人数が増える」(2284人=23.7%)「利用する回数が増える」(1846人=18.3%)を合わせ、42%が「行く回数が増える」と考えており、「回数・人数が減る」(672人=6.6%)「回数が減る」(600人=5.9%)を合わせた12.5%を大きく上回った。
飲食店業界側は「経営悪化」を懸念するが...
厚労省案の「飲食店は原則禁煙」をめぐっては反対意見が根強く、10日の閣議決定を目指していた同省だが、法案提出時期を延期。自民党内ではたばこ議員連盟が7日、臨時総会を開き「飲食店は禁煙・分煙・喫煙の表示を義務化する」などとした対案をまとめた。
改正案が示された直後から、飲食店業界側からは「経営悪化」を懸念する声が上がっているが、厚労省や改正案を支持する団体などからは、禁煙化が必ずしも減収につながらないことを示す調査結果や前例が提出されている。今回の調査結果は、それらを補強する格好になった。