「互いに悪意はないのに、ボタンが掛け違ったまま」
そもそも企業はなぜ非通知の電話をかけるのか。『キレイゴトぬきの就活論』(新潮新書)などの著書で知られる、大学ジャーナリスト・石渡嶺司さんはJ-CASTニュースの取材に2つの可能性を指摘する。
1つは、学生に採用セクションの直通番号を知られたくない担当者が意図的に非通知設定している可能性。2つはセキュリティ上の問題で担当者が意図せず非通知設定されている可能性だ。石渡さんは、後者の方が圧倒的に多いだろう、とみる。
「セキュリティ保持のため、人事とは別の部署が非通知に設定していることが多いですね。採用担当者もそこまで気を遣うわけではありませんから、結果的にそうなってしまいます。企業は『傲慢』なのではなく、良くも悪くも『無頓着』なだけでしょう」
学生側にすれば「通知・非通知」はすぐ切り替えられるはずだという思い込みがある。一方、企業側にすればシステム上の問題で、早期対処が難しい。
石渡さんいわく、双方は「互いに悪意はないのに、ボタンが掛け違ったまま」の状態だという。
とはいえ、就活サイトへのダイレクトメッセージやメールに連絡手段を切り替えるのも難しいようだ。
「企業が学生に電話をかける目的は、次の選考に進みたい、入社したい、という意思を直接確かめるためでもあります。ここで電話対応のスキルを見る企業もあるでしょう。一見アナログな電話の方が、ある意味『理にかなっている』とも言えます」
電話はすぐかけ直せても、「ボタンの掛け違い」はすぐ直せない、ということだろうか。