東京都の小池百合子知事は2017年3月10日、定例記者会見を開き、同日発売の月刊誌『文芸春秋』(4月号)に掲載された石原慎太郎・元東京都知事の手記を批判した。
14年の都知事選に出馬を検討していた際、石原氏に応援を要請したという記述について、小池氏は「小説だなぁと思う」「だいぶ勘違いがある」と否定した。
「巌流島の果し合いをしたくないが...」
小池氏は3月10日の会見で、石原氏の手記に対する感想を問われた際、
「全部は読んでいないが、『あぁ小説だなぁ』と思った」
と一言。「私について書かれているところは、何かの勘違いだ。小説ではないか」 と反論した。
手記は、築地市場移転をめぐる当時のやり取りや過去の都知事選を振り返るもの。14年の都知事選で、小池氏から「応援してくれますか」と聞かれ、一度は承諾したものの一転して応援を止めた経緯が明かされている(編注:小池氏は14年の都知事選には出馬していない)。
しかし、小池氏は
「私が都知事選に出馬するのに、(石原氏に)応援をお願いしたことはない。むしろ『出ないか』と誘ってきたのはあちらの方だ」
と語気を強める。そして、
「(石原氏は)年末のさなか、事務所にやってきた。それがどこかでひっくり返り、私が出たいと言った、という風に書いてある。だいぶ勘違いがある。その時、『(小池氏の)お父さんにお世話になったから(応援するのは)恩返しなんだ』と言われた」
と明かした。
さらに、「同席者がいる。不確かなことを書かない方が良いのではないか」と石原氏を牽制。
「巌流島の果し合いをしたくないが、あえて、『文芸春秋』にファクトを書いても良いなと思っている」
と反論記事を書く意欲も示した。なお、手記によると、小池氏の父親・勇二郎氏は石原氏がかつて参院選に立候補した際、その選対本部に詰めていたという。
国政研究会は「マスコミの期待にばっちり応えちゃった」
会見ではその他、この日罷免が決まった韓国の朴槿恵大統領や、自身が率いる地域政党「都民ファーストの会」が立ち上げた勉強会「国政研究会」にも話が及んだ。
小池氏は朴大統領を、
「女性リーダーとして頑張っていたので、とても残念に思う。相談相手って難しかったと思う。私も後ろを振り返っても誰もいない。誰かアドバイスをしてくれる人が欲しかったのかなぁ、と。一人の人間としてそう思う」
と自身の境遇に重ねた。
また、「国政研究会」については、
「一気に国政というのは、体力、人力的にそう簡単ではないとよく知っている。『国政研究会』というネーミングが、皆さん(編注:報道陣)の期待にばっちり応えちゃったかもしれないが、残念ながら期待に沿うものではない。間違えてとって下さり、大変ありがたく思っている」
と説明し、国政選挙への候補者擁立の意思を否定した。