【L4YOU!】(テレビ東京)2017年3月6日放送
「時間栄養学~この食材はこの時間に!~」
健康やダイエットのために飲もうと、野菜や果物をミキサーにかけて作る「スムージー」が定番になりつつある。朝食はスムージーだけで済ませている人もいるかもしれないが、実はそれだけだと、朝食を摂(と)っていないも同然で、不健康なのだ。
番組では、「時間栄養学」の第一人者、早稲田大学先端生命医科学センター長の柴田重信教授が、毎日の理想的な食事を伝授した。
スムージーにはツナサンドをプラスして
人間の体内時計は24.5時間で、日々30分ほど遅れている。このズレを放置すると、睡眠をつかさどり、がんの抑制や抗酸化作用も持つホルモン「メラトニン」が減少し、不眠症や肥満、がんなどの生活習慣病につながる。
ズレを改善するのは、太陽などの光の刺激だ。光は脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分を経由し、体内時計を調整する。
そしてもう一つ、食事の刺激も重要だ。食事は脳を経由せず、胃や肝臓、すい臓などの器官に直接働きかけ、体内時計のズレを調整する。食事の内容やタイミングを工夫すれば、健康的な体づくりができる。これが「時間栄養学」だ。
最も重要なのは朝食だ。マウスを用いた実験では、朝しっかり食べているマウスは理想的な朝型の体内時計に近付くのに対し、夕食が多いマウスは体内時計が乱れる傾向があるとわかった。
特に摂りたい栄養素は炭水化物とタンパク質だ。スムージーや野菜サラダだけの朝食では体内時計の調整には不十分となる。
脂質を摂る場合は、魚油が最も効果的で、中でもマグロに含まれる油が効率的に体内時計を調整できる。植物油は体内時計にはあまり作用しない。
例えば、朝はスムージーだけという人は、ツナサンドをプラスし、スムージーには豆乳やヨーグルトを入れる。トーストとコーヒーで済ませている人は、トーストに目玉焼きとサラダ菜をのせ、コーヒーにミルクを入れる。お酒を飲んだ次の日はお茶漬けだけという人は、焼き魚、大根おろしとしらすをプラスすると、体内時計を調整できる朝食に変身する。
朝食の時間は、例えば6~7時に起きる場合は、起きてから1時間以内の7~8時に摂るのがベストだ。また、朝食と夕食は12時間以内におさめるとよい。
昼は何を食べても太りにくい
20~50代の男女1200人を対象にした調査では、1日全体の食事量を10とした場合、平均で朝2:昼3:夕5という割合で食事していた。
しかし時間栄養学の観点では、夕食が最も多いのは健康的ではない。柴田氏は、朝4:昼3:夕3が一番よいとしている。ただ、夕食での家族団らんも大切なので、朝3:昼3:夕4でもOK。夕食を多くしすぎないのが重要だ。
夜は脂肪が蓄積されやすいので、朝食とは逆に、低カロリーで炭水化物や脂質が少ないものを軽めに食べるべし。カルシウムなどミネラル分の吸収効率がよい時間帯なので、乳製品を積極的に摂りたい。
夕食から朝食までの「食べない時間」が長い方が体内時計を調整する効果が高いので、夕食は早めに済ませるよう心がけたい。仕事などで帰宅が遅い人は、夕方に少しお腹を満たしておき、帰宅後に夕食を食べる「ちょこちょこ食べ」の方が、夜一気に食べるよりも健康的だ。
昼は内臓が活発に動いている時間帯なので、昼食の内容や量はあまり肥満に影響しない。肉や脂っこいものを食べたい場合は、昼食がよい。ただし栄養バランスには気を配り、野菜も摂るようにしよう。
同じ食材でも、朝と夜では違う効果が得られるものがある。
例えば牛乳などの乳製品、納豆などの大豆製品は、朝摂ると筋肉量を増やし、サルコペニア予防に役立つ。夜摂ると骨を形成し、骨粗しょう症予防につながる。