AKB48・渡辺麻友さん(22)主演のドラマ「サヨナラ、きりたんぽ」は、タイトルを局部切断の意味で使っているように見えて不快だと、テレビ朝日に批判が相次ぎ、タイトルが撤回される事態になった。秋田の郷土料理「きりたんぽ」に、そんな意味はないはずだが...。
「きりたんぽに、男性器に関連した由来などありません。だから、怒っているんですよ」
「局部切断のイメージをダブらせ、イメージを汚す」
秋田県のあきたびじょん室では、J-CASTニュースの2017年3月9日の取材に対し、テレビ朝日に抗議した理由について室長がこう説明した。
ドラマは、4月からテレ朝系で日曜日の深夜帯に放送予定で、渡辺麻友さん演じるヒロインが自分を裏切った男性の局部を切断するなどして成敗するというストーリーだ。テレ朝のホームページで、番組サイトが3月4日に立ち上がり、ヒロインは、交際男性を殺害して局部を切断した戦前の猟奇事件をモチーフに、「平成の阿部定」とうたわれている。企画・原作は、AKBの総合プロデューサーを務める秋元康さんが担当した。
しかし、番組サイトが立ち上がると、ドラマ名は不適切で不快だなどと県民らからの意見が次々に県などに寄せられるようになった。県が関係機関と協議し、テレ朝に抗議しようと準備していたところ、3月7日になってテレ朝のプロデューサーから電話連絡が入った。テレ朝にも相当数の苦情が来ており、早急な対応を検討していると話したという。
県ではその場で、タイトルを変更し、ドラマでもきりたんぽの言葉や映像を使わないようにと伝えた。テレ朝からは、その日のうちに連絡が入り、タイトルを変更し、ドラマでもきりたんぽを使わないと回答があった。番組サイトでは、翌8日から「タイトル未定」と表示されている。
あきたびじょん室の室長は、「タイトルでは、局部切断のイメージをわざとダブらせていると感じました。きりたんぽに誤解を与え、イメージを汚すものと考えています」と話す。
そもそも「きりたんぽ」名前の由来は...
タイトル撤回を伝えるニュースのコメント欄などでは、「バナナやソーセージなんかどんだけ揶揄されてると思ってるんだよ」「秋田県民は心が狭いな」といった意見も一部ではある。しかし、タイトルに疑問や批判の方が多く、「秋田県に失礼じゃねーか」「抗議されても仕方ない」「そもそも、なぜこれが通ったのか...」などと次々に書き込まれている。
関係者にJ-CASTニュースが3月9日に取材したところによると、秋元康さんがタイトルを考えたわけではなく、秋元さん側は打ち合わせにも参加していないという。スポーツ紙の報道によると、秋元さん側は、「サヨナラ、鍋奉行」とのタイトルを提案していたが、テレ朝側が今回のタイトルに決めたとされている。
テレ朝の広報部では9日、なぜ局部切断を連想させるようなタイトルにしたのかについて、取材に次のようにコメントした。
「タイトルは主人公が通う行きつけのお店の看板メニューが『きりたんぽ鍋』でその鍋を囲みながら恋愛トークが繰り広げられることから付けられたものです。秋田県からご指摘を頂くなどしたため、総合的に判断して番組タイトルを変更することといたしました。放送前とはいえ、秋田県の皆様にご不快な思いを与えてしまい、申し訳ありませんでした」
なお、きりたんぽの「たんぽ」は、槍の刃に着ける革や布でできたカバーに似ていることが由来で、鍋に切って入れることから「きり」が付いたとされている。
しかし、細長い形をしていることから、秋田の土産物会社が携帯ストラップ「秋田名物きりちんぽ」を発売しようとして物議を醸したこともあった。