くわばたりえ「福島米食べてます、って言えない自分」 NHKで本音連発に複雑な反応

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   「なんか、『福島米食べてます』って言えない自分がいる」――。お笑いコンビ「クワバタオハラ」のくわばたりえさん(40)が漏らした福島産の食材に対する「本音」が、インターネット上で激しい賛否を広げている。

   くわばたさんは、東日本大震災による「風評被害」を特集した2017年3月8日放送の『あさイチ』(NHK総合)に生出演。検査で安全が保障されていると理解しつつも、福島産の米に「抵抗」を感じてしまうことについて、複雑な思いを吐露した。

  • くわばたさんが語った「本音」が波紋(画像は本人のブログより)
    くわばたさんが語った「本音」が波紋(画像は本人のブログより)
  • くわばたさんが語った「本音」が波紋(画像は本人のブログより)

「みんな買ってないから、私も買わんとこって......」

   東日本大震災の発災から3月11日で満6年がくる。8日のあさイチでは「データで読み解く!東日本大震災から6年」と題した特集を放送した。これは、大震災が人々の身近な生活に与えた影響について、データをもとに振り返るという内容だ。

   その中では、東京電力福島原子力発電所の事故による福島産の食材をめぐる放射線の影響に関する「風評被害」が取り上げられた。実際、番組が紹介した東京都調布市のあるスーパーでは、震災前後で福島米の売上は4割ほど減ったという。さらに、JA福島みらいの担当者も番組の取材に、

「福島県という名前が出ていると、どうしても消費者が嫌ってしまう部分がある。スーパーなどの量販店には出しにくいので、業務用に回っているのが現状です」

と話していた。

   福島県では2012年から、県産米の放射線量をチェックする全量全袋検査を実施している。14年収穫分からは食品衛生法上で定められた基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える米は出ておらず、15年収穫分では全体の99.99%が基準値の4分の1以下となる25ベクレル未満だった。

   このように「安全が保障されている」状況にも関わらず、福島米に「抵抗」を覚える消費者は少なくない。今回の「あさイチ」にゲスト出演したくわばたさんもその一人で、番組では、

「なんか、『福島米食べてます』って言えない自分がいる。この前スーパーに行ったとき、(福島産の米が)売ってたんです。ちょっと安く。でも、買わなかった。安全なのに」

と切り出した。続けて、そのスーパーでは、他の米より値段が安い福島産の米があまり売れずに残っていたとして、

「みんな買ってないから、私も買わんとこっていうのがどこかにある」

と実体験を交えて率直な思いを吐露した。

「見損なった」「はるかに信用できる」

   さらにくわばたさんは、「どうしたら(福島産の米を)何の躊躇もなく買えるのかな」との悩みを打ち明け、福島産食材が風評被害で「売れていない」ことを伝えるメディアの報道が問題なのではないか、という持論を次のように述べた。

「(テレビ番組で)そういうのばっかりやってると、さらに『食べんとこ』と思う。でもその反面、検査したら基準値は全然大丈夫ですって、そうなんやと思うけど、でも『食べない人の方が多いんや』と思うと、『あ、じゃあ...』ってなる自分がいたりとか」

   こうしたくわばたさんの「本音」をめぐり、ネット上では賛否の大きく分かれた意見が出ることになった。ツイッターやネット掲示板には、

「くわばた、福島の米は買わないとか。そんな人間をなぜ番組に呼ぶの? 風評被害をぶっ飛ばせ目的かと思ったら、逆の印象を与えそう」
「見損なった。福島の米を買わないからではなく、買わないことを公言してそれを自己正当化して、影響の大きなテレビ番組で言い放ったから」

と激しく反発するユーザーもいれば、その一方で、

「安心と安全は違うという典型的なやつで くわばたはまさにそこをしっかり説明してる」
「発言がネガティブに見えて実はニュートラルだよね。福島のものは大丈夫!みなさん食べましょう!!なんて歯の浮くようなこと言うやつよりはるかに信用できる」

とくわばたさんの発言に理解を示す声も数多く出ていた。

福島の生産者「風評被害を考えるきっかけに」

   では、今回の意見について「当事者」である福島県内の生産者はどう考えるのか。福島県二本松市で野菜を生産している「二本松農園」の担当者は3月9日のJ-CASTニュースの取材に対し、

「くわばたさんの意見は率直だけど、そういう状況があることは確かです。むしろ、その意見を批判している人の方が、いま福島の農家が置かれている現状をあまり理解して頂けていないのかもしれません」

と話す。

   担当者は続けて、福島産食材の「安全性」は十分に伝わっているが、「一度ついてしまった消費者のマイナスイメージが中々払拭できていないことがいまの問題」だと説明。その上で、

「もちろん、くわばたさんを批判している人は、福島の農家に対して失礼だと思って声を上げてくれているのでしょう。それは、確かにありがたい部分はあります。でも、今回のくわばたさんの発言を、福島の『風評被害』をもっと考えるためのきっかけとして捉えて頂けたら、私としては嬉しいですね」

と話していた。

姉妹サイト