20代女子の半数が「わたし、してます」
オシッコは単に汚いと言うだけではすまない。研究者のブラックストックさんは発表資料の中で、こう注意を呼びかけている。
「尿に含まれる窒素含有成分は、プールの消毒剤と化学反応を起こし、トリクロロアミンという有害物質に変化します。トリクロロアミンは目やのど、鼻、肺を刺激して痛くさせます。長くプールにつかる競泳選手やプールで働く労働者にぜん息になる人が多いのですが、トリクロロアミンに長期間さらされることが原因と考えられます」
オシッコがとんでもない副産物を生みだしているわけだ。実は、もっと怖い「毒ガス」を発生させる危険性もある。化学兵器に使用される超有害物質「塩化シアン」だ。塩化シアンは吸い込むと、肺や心臓、中枢神経系に影響を与え、酸素がとれなくなり、死に至ることがある。
「日経サイエンス」ウェブ版の「プールでおしっこするな! 危険です、マジに」(2014年10月号)では、こう警告している(要約抜粋)。
「この夏、私たちの5人に1人は常識はずれのことをするだろう。プールの中でオシッコをすることだ。このだらしない行為は、ごく少量ではあるが、有毒な化学物質を生み出す。『プールの水は塩素を含んでいるからオシッコしても大丈夫と思っている人がいるが、まったくの大間違い』と米パデュー大学の化学工学者アーネスト・ブラッチリーはいう。プールにおける塩素の仕事は殺菌であって、身体機能を引き受けることではない」
「実際、塩素は尿酸と容易に反応する。この結果、塩化シアンとトリクロロアミンができる。これらは潜在的に有害で、ブラッチリーが過去10年間に調べたプールすべてに存在していた。これらの化合物の生成に使われた尿酸の93%が人間の尿に由来するものだ(尿酸は汗にも含まれる)」
「米環境保護局の許容濃度を超える塩化シアンとトリクロロアミンを作り出すのに大量の尿はいらない。過去の調査で、水泳大会の後にはプールのトリクロロアミンの濃度が4倍になることがわかっている。また、水泳選手や監視員のようにプールでトリクロロアミンと塩化シアンに頻繁にさらされる人はぜん息などの呼吸器疾患になる可能性が高い。だからお願い、プールでオシッコはしないで」
ところで、プールでオシッコをする人はどのくらいいるのだろうか。情報サイト「しらべぇ」(2015年7月7日付)の「一度は経験あり!? プールでオシッコをしたことがある人を調査」によると、こんな驚きのアンケート結果だった(要約抜粋)。
(1)20代 男性38.7% 女性49.3%
(2)30代 男性45.3% 女性43.0%
(3)40代 男性57.3% 女性32.7%
(4)50代 男性54.7% 女性34.0%
(5)60代 男性44.7% 女性19.3%
おいおい、いいのか、こんなに多くて! これをみると、全体の半数がしていることになる。それにしても、40~50代男性に多いことは呆れるほかないが、20代女子が男子より多いのはどういうわけ?