ぬいぐるみが図書館で「お泊り会」 「幼児が絵本好きになる」は本当か

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2人に1人がぬいぐるみに読み聞かせを始めた

   研究チームは、3~5歳の幼稚園児42人に大好きなぬいぐるみたちを持ってきてもらった。キリン、クマ、チーター、ペンギンなど動物ばかりだ。地元の紀伊國屋書店クレド岡山店の協力を得て、ぬいぐるみたちが書店内をゾロゾロと探検、本棚から絵本を取り出し、仲良く顔を突き合わせて絵本を読んでいる場面などを約300枚撮影した。ペンギン親子が手をつないで書店内で本を探したり、ライオン君が絵本のライオンのおっかない顔にびっくりしたり、2匹のクマさんが絵本の「太っちょペンギン どのこかな?」のクイズを当てっこしたりと、それぞれのぬいぐるみにストーリーを作った。

   「後で子どもたちに写真を見せると、『○○ちゃん(ぬいぐるみの名前)が本を読んでる!』と、とても喜んでいました」と岡崎講師。

   保護者に確認すると、ぬいぐるみを返した当日は、42人中21人がぬいぐるみに本の読み聞かせを行なった。「お泊り会」の前は、読み聞かせをする子が2人しかいなかったから、10倍以上の効果である。その後、読み聞かせをする子は減り、3日目には4人になった。1か月後には2人に戻った。しかし、1か月後に子どもたちに「お泊り会」のエピソードを思い出させる語りかけを行なうと、ぬいぐるみに読み聞かせをする子は28人中14人に増えた。半分の子が再び読み始めたのだ。「お泊り会」は効果があることがわかった。ただし、効果が持続するのは3日間程度と短かった。

   今回の研究成果について、岡崎講師はこう語っている。

「『お泊り会』のイベントをするだけで、子どもが自分から本を読むようになることが確認できたことは画期的です。今後は3日間の効果をもっと伸ばす方法を考えていきます。合同研究チームには工学系の研究者もいるので、『ポケモンGO』のように、ぬいぐるみが図書館内を探検するシーンを動画で見せるとか、子どもがぬいぐるみと対話するといった方法を研究していきます」
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