「違法なので国外退去にしなければならないが」...
余波はさらに広がりそうで、現地紙「ザ・スター」によると、サラワク州当局は、37人以外にも約140人が、就労許可が切れた状態で滞在しているとして調査を進めている。ただ、サラワク州のアバン・ジョハリ首相は140人の扱いについて
「問題は彼らを国外退去にできるかだ。違法なので国外退去にしなければならないが、今起きている外交問題を踏まえると、(マレーシア)連邦政府の許可を得る必要がある」
と話しており、若干の紆余曲折がありそうだ。
マレーシアメディアによると、マレーシアには約1000人の北朝鮮人が滞在しているが、大半が工事現場や鉱山での労働者だと考えられている。北朝鮮の外貨稼ぎの一翼を担っているとみられ、北朝鮮に経済的に与える影響も大きそうだ。
一方で、現時点でマレーシア側が受けている影響は比較的小さい。マレーシア国営のベルナマ通信によると、現在北朝鮮国内にとどまっているマレーシア人は11人。内訳は、国連世界食糧計画(WFP)職員が2人、大使館員3人と家族6人。
一時出国禁止を伝える朝鮮中央通信の記事では、北朝鮮外務省が
「駐朝マレーシア大使館とマレーシア外務省が双務関係を重んじ、発展させていこうとする善意の立場に立って今回の事件を速やかに公正に解決することを希望」
し、
「この(一時出国禁止)期間、駐朝マレーシア大使館の外交官と市民は、以前と同様の条件と環境の中で正常に働いたり居住できたりする」
とも付け加えており、抑制的だ。ナジブ首相も8日、11人は軟禁状態に置かれることなく通常通りの外出が許されているとして、
「安全については心配ない」
と話した。