野球日本代表「侍ジャパン」が2017年3月7日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド初戦でキューバと対戦し、11-6で打ち勝った。
強化試合などで湿り気味だった打線が一転、5回までに10安打7得点の猛攻を見せ、7-1と大量リードを奪った。楽勝ムードと思われたが、終盤の7、8回だけで5失点を喫し、終わってみれば6失点。「抑えの方程式」ができていない首脳陣の「迷走」ぶりに非難轟轟となった。
原&槙原、継投策に動揺隠せず
侍ジャパンは7回裏、主砲・筒香の2ランで9-4とリードを広げていた。残すところ、2回のみ。まず、8回表から平野を投入。テレビ中継の解説者、槙原寛己は「8回は平野、9回は秋吉だったのでしょう」と平野‐秋吉の継投策と予想した。
2月の時点で、侍ジャパンの権藤投手コーチは抑え候補として3人の名前をあげていた。それは平野、秋吉、そして松井裕樹だった。だから平野-秋吉と来るのは、予想されたことだった。
だが平野は、2死2、3塁のピンチを迎える。ベンチはここで平野から秋吉へスイッチした。
同じく解説者だった原辰徳は
「平野を代えた意図が分からない。(あの場面は)平野に任せないとダメ。そうすれば平野の自信にもなるし」
と首をひねる。
秋吉は結局、適時2塁打を浴び、9-6に。打線は8回裏に2点を追加し、11-6と再び差を広げたが、原は首脳陣の作戦に
「勝ちゲームに入った時は、逆算する投手リレーになるのがベストですよね。最後(9回)も8回も7回も決まっている、と。安定感という意味では、(きょうの試合運びは)どうなのかなと」
と疑問を投げかけた。
「ここに来て『抑え』が決まっていないのはおかしいし、ありえない」
9回表のマウンドには、秋吉ではなく牧田が上がった。解説席ではこの継投にも、「牧田を抑えにするつもりで登板させたのですかね」(槙原)という驚きの声が上がった。
槙原はその上で、
「過去の3大会を見させてもらっているが、(今回が)1番簡単に点をやってしまう試合になっている。過去3回の大会では1点の重みを感じたが...」
と酷評した。原も6回までの侍野球は完璧だったと語ったが、7、8回の5点は不用意の失点だったということだ。
野球解説者の西本聖も8日付の日刊スポーツで
「なんで最後、牧田なのかな? というのが正直な感想。侍ジャパンの抑え投手は秋吉だと思っていたから。『抑えは牧田』と決めていたのならOKだが、もしそうじゃなかったら選手に不安を感じさせる投手起用だったと言わざるをえない。ここに来て『抑え』が決まっていないのはおかしいし、ありえない」
とこき下ろした。
キューバ戦は打線が爆発したからよかったが、1点を争うゲームになったときに、大きな不安が残る継投策だった。