ひじにメスを入れても大リーグで活躍 「トミー・ジョン手術」選手を追跡調査

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   プロ野球の開幕が近づいてきたが、毎年、ひじを故障して手術を受ける選手が後を絶たない。最近、高校生でも投手のひじの故障が問題になり、果たして体にメスを入れる手術が安全かどうか論議を呼んでいる。

   そんな中、米の研究チームが米大リーグ(MLB)の若手選手のデータを分析、ひじの手術を受けても、手術を受けない選手と同等の活躍ができることを米スポーツ医学誌「The American journal of sports medicine」(電子版)の2016年12月号に発表した。

  • 投手はひじを痛めやすい(写真はイメージです)
    投手はひじを痛めやすい(写真はイメージです)
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メジャー昇進や球速、防御率では手術組に軍配が

   この手術は、投手の傷ついたひじの内側の靭帯を再建するもので、利き腕ではない方のひじから腱を移植する。通称「トミー・ジョン手術」という。米の整形外科医フランク・ジョーブ氏が考案、1974年に初めて手術を受けたのがMLBのトミー・ジョン選手だったことから名づけられた。日本人選手でも、村田兆治、桑田真澄、藤井秀悟、江尻慎太郎、松坂大輔、田澤純一、ダルビッシュ有、和田毅、藤川球児、五十嵐亮太、野間口貴彦らが手術を受けている。

   同誌の論文要約によると、研究をまとめたのはルーカス・ワイモア整形外科医(ノースカロライナ病院)ら米国整形外科学会のチームだ。2006年~2010年にMLBのドラフトに指名された投手の中で、アマチュア時代にトミー・ジョン手術を受けた38人を対象にした。比較のために、ドラフト順位が近く実力が匹敵している、手術を受けていない114人の投手を選んだ。そして、それぞれの投手たちがメジャーリーグやマイナーリーグのどのレベルまで進んだか、プレーの成績はどうだったか、故障者リストに入ったかなどを比較した。

   その結果は、次のように、活躍や成績にほとんど差がなかった。

(1)手術組でメジャーリーグまで上がったのは38人中13人(34.2%)だった。一方、非手術組は114人中29人(25.4%)で、やや手術組が上回った。
(2)故障者リストに入るリスクは、手術組の方が非手術組より12.5%多かった。しかし、故障者リストに入っている期間はほとんど同じだった。

   また、それぞれのグループで成績が上位半数の選手を選び、球速や防御率など投手としての実力を比較すると、主な項目は次の通りだった。

(1)最高球速(時速)............手術組(149.0キロ) 非手術組(147.8キロ)
(2)平均球速(時速)............手術組(148.3キロ) 非手術組(147.3キロ)
(3)防御率...........................手術組(3.98)    非手術組(4.11)
(4)年あたり勝利数...............手術組(3.3)    非手術組(3.8)
(5)年あたり敗戦数...............手術組(3.3)    非手術組(4.0)
(6)イニングあたり奪三振数...手術組(0.85)    非手術組(0.85)
(7)イニングあたり被安打数...手術組(0.97)    非手術組(1.01)

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