20代女性から人気を集めるセレクトショップ「cher」(シェル)が、2017年中に国内店舗をすべて閉店する。
ブランドを象徴する商品と言えば、ハートマークのあしらわれた可愛らしいエコバッグ。そうした商品の閉店後の行方は未定だが、「ほんと悲しい」とネットで惜しむ声が相次いでいる。山崎嘉子社長は、閉店を告知するブログで「店もある意味『生きもの』だと思います」と胸の内を綴る。
社長「自分たちのやるべきことはやりきった」
「どこからお話をしたらいいのか、わたし自身まだ迷っています」――山崎社長は17年3月1日のブログでこう前置きし、東京・代官山にある旗艦店を3月末で閉めると伝えた。
「趣味の延長で遊ぶように楽しく働いてきました。仕事そのものが私生活と分かちがたく結びついていて、夢の中ですら仕事をしていた22年間でした」
と振り返りつつ、
「店もある意味『生きもの』だと思います。物事には始まりがあり、終わりがある。それは、悲しいことではなく、自然の理なのだと思うのです」
と説明。閉店の理由は詳しく明かしていないが、ショーやカタログ、ムック本の発売、店舗移転、オフィス建設といった画期となる出来事を挙げ、
「もう自分たちのやるべきことはやりきったかな」
と綴る。
なお、16年12月に立ち上げたばかりのブランド「MALION」(マリオン)はシェルから独立、鎌倉にあるもう1つの実店舗「Cher Shore」(シェルショア)は8月まで営業を続ける予定だという。
シェルの歴史は、アパレルショップが軒を連ねる「原宿キャットストリート」裏手の小さな店から始まった。脚を細く見せられる、アメリカ発のタイトなジーンズ「アールジーン」をいち早く取り扱い、ファッション好きから注目された。
勢いに乗って、1997年には「FRUIT CAKE」(フルーツケイク、2015年に終了)、2001年には「BIANCA'S CLOSET」(ビアンカクローゼット、同)といったブランドを設立。個性的な品ぞろえと世界観でファンを魅了してきた。