【男と女の相談室】大谷翔平の活躍は肝臓に秘密? 運動効果の個人差解明が衝撃的

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食生活やトレーニングで「運動抵抗性」を減らせるか?

――病気の人への運動療法の効果の面で画期的な研究ですが、一般の健康な人が運動効果を上げる点では、今回の研究はどういう意味を持ちますか。たとえば、トレーニング方法や食生活などの改善によって、「運動抵抗性」を減らし、さらに運動効果を上げることは可能ですか。

「重要な質問と思いますが、今のところ日常生活でセレノプロテインPを下げられるような方法が見つかっておりません。我々の患者さんやマウスの検討では、有酸素運動を繰り返してもセレノプロテインP濃度そのものを下げることはできませんでした。より強い高強度の運動がセレノプロテインPを下げるかどうかは、今後の検討課題です。また、理論上はセレン(編集部注:必須微量元素で、セレノプロテインPはセレンを多く含む)を制限した食事を食べるとセレノプロテインP濃度が下がるはずなのですが、セレンはあまりにも多くの種類の食べ物に含まれているので、食事で制限するのは事実上無理かと思っています」

――今後の研究課題としてセレノプロテインPの働きに対抗する「運動強化増強薬」を開発するとありますが、詳しく聞かせください。

「ひとつ使えそうなものとして、糖尿病ですでに臨床で使用されているメトホルミンという薬剤(内服薬)が肝臓でのセレノプロテインPの産生を低下させることをすでに我々は報告しました。しかし、メトホルミンを飲むといくらか血中濃度が下がるのですが、正常範囲にまでは下がらないことがわかりました。より強力にセレノプロテインPを低下させる薬を現在探している最中です。もうひとつの候補は、セレノプロテインPの中和抗体です (共同研究者である同志社大の斎藤芳郎先生が開発)。これは注射すると数日から数週にわたってセレノプロテインPの作用がなくなるというものです。糖尿病の治療薬としてはかなり有効だと考えています」
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