消費者物価指数が1年1か月ぶりにプラス
まず、下落要因は、第1に、減産合意がにわかに反故にされる要素が見当たらないこと。サウジやクウェートなどは消費国に供給削減を通告している。
第2に、ここ2年を超える原油価格低迷で油田開発投資が滞っており、増産の頭を押さえている。
第3に、OPECで減産の枠外にあるナイジェリア、リビアで内政が安定してくれば生産量が最大100万バレル増産の可能性がある。
第4に、トランプ政権の保護主義的政策で世界経済が混乱すれば、景気低迷・後退に伴い原油需要が落ち込む懸念がある。
一方、価格上昇要因も少なくない。第1に、米国のシェールオイル増産の懸念だ。
第2に、トランプ米政権がイランに対し強硬な姿勢を見せており、イラン核合意見直しで緊張が高まれば、ホルムズ海峡による原油供給途絶の懸念さえある。
第3に、やはり中東でトランプ政権が親イスラエル政策を推進すれば、地域全体の地政学的リスクが高まり、原油価格を押し上げる可能性もある。
様々な要素の中で、大きく言えば、特に中長期的にはトランプ政権の政策動向が大きくかかわる可能性がある。また、当面の動向では、やはり、米国を中心としたシェールオイルの増産の行方が相場を左右しそうだ。これについて、石油関係筋は「短期的にシェールオイルの増産、減産と世界的な需給、価格の変動を考えると、原油価格は協調減産が継続されれば60ドル程度まで上昇する可能性があり、一方で協調が乱れれば、40ドル程度まで下げ次可能性もある」と分析する。
原油価格の日本への影響はどうか。総務省が2017年3月3日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が99.6と前年同月と比べ0.1%上昇と、1年1か月ぶりにプラスを記録。前年同月と比べて原油などエネルギー価格が大幅に上昇したことが最大の要因で、ガソリンが11.2%の大幅アップだった。今後、時間差で原油価格上昇が反映する電気料金なども上昇することになり、庶民の生活を圧迫することになりそうだ。