「今夜はガールズ・ナイト。男たちは家で子守りよ」
アカデミー賞授賞式の夜(米国時間2017年2月26日)、リベラルなユダヤ人の友人に誘われて、彼女の友人のホームパーティに行った。毎年、この夜には、女性ばかり十数人が集まり、食べ物やワインを持ち寄って、授賞式をテレビで一緒に見る。各部門のノミネート作品が書かれたシートが配られ、各自がそれに印を付け、誰が最も正解が多いか競い合う。
「もっと辛辣に批判するかと思ってたわ」
私は初めて会う人が、ほとんどだった。前回、参加した時は黒人もいたが、今回は私以外すべて白人だ。「ガールズ」と言っても、高校生から70代までと年齢の幅はあるが、最大の関心のひとつは、やはりセレブたちのファッションだ。
「あのドレス、70年代風じゃない?」、「あら、私は好きよ」、「ゴージャスなドレスにゴージャスな笑顔。彼女、最高だわ」などと盛り上がる。
授賞式が始まると、どの作品が受賞するかハラハラしながら、司会のジミー・キンメルがトランプをおちょくるジョークに大笑いする。
マンハッタンのトレンディな地域の、スタイリッシュなマンションに集まったのは、銀行員、アートディーラー、サイコセラピストなど、比較的、豊かな生活を送る女性たちだ。最近、難民を支援団体に紹介する手伝いを始めた人もいた。彼女たちが反トランプ派なのは、尋ねなくても想像できる。
今年の授賞式は最初から最後まで、トランプ批判が続いた。キンメルはオープニングで、「これは225か国以上で放送されているが、どの国も今や僕たちを憎んでいる」と語った。トランプ氏が以前、女優のメリル・ストリープを「過大評価されている」と揶揄したことを受けて、「そのドレス、いいね。イヴァンカかい」とストリープをからかった。また、「トランプ、起きてるか」などとツイッターでつぶやいた。
ホームパーティにいたひとりが、物足りなそうにつぶやく。「みんな、もっと辛辣にトランプを批判するかと思ってたわ」。