金融庁と総務省の温度差
しかし、その後、金融庁と総務省が結論を出さないまま4年が経過した2016年12月、麻生太郎金融担当相は閣議後の会見で、ゆうちょ銀行の新規業務について「融資というのは回収できるのが条件だ。そういう審査能力が郵便局にあるという話は聞いたことがない。融資というのは簡単な話じゃない」と発言。ゆうちょ銀行の審査能力に疑義を呈した。
これに対して、高市早苗総務相は同月、「申請から4年が経過しており、金融庁と連携しながら審査を加速させたい。金融庁でもヒアリングをしていると思うが、4年以上結論が出ないということは決して好ましくない」と不満を漏らした。ゆうちょ銀行の新規業務の認可に前向きな総務省と慎重な金融庁のスタンスの違いが浮き彫りになった格好だ。
金融庁は「(ゆうちょ銀行の)目指すべきビジネスモデルの構築のために必要とされる新規業務の承認申請に対して、法令に則り適切に対応していく」とコメント。ゆうちょ銀行は収益性の観点から、住宅ローンへの参入を最優先で目指す考えだ。企業向け貸出については「中小・中堅企業のリスクを読むのは難しいが、ゆうちょ銀行にも審査部があり、大企業向け融資であれば理論的には可能かもしれない」と、最近はややトーンダウンしている。
しびれを切らしたゆうちょ銀行と、持ち株会社の日本郵政は、今17年度内に政府の認可、不認可の結論が出ない場合、新規業務について再検討し、政府に申請し直すことも検討している。
いずれにせよ、新規業務が4年前の申請通り認可されるのは困難な見通しだ。総務省は早く結論を出すよう求めているが、金融庁は、ゆうちょ銀の融資審査能力を慎重に判断するとみられる。