いまどきの多くの男性を悩ませてきた、白いTシャツを着ると「乳首が透けてしまう」という問題。そんな悩みを解決するために開発された専用Tシャツ「正装白T」が、いま大きな注目を集めている。
価格は1枚9720円(税込)とTシャツにしては割高な印象だが、2017年3月3日にウェブ限定で行われた先行発売では、販売開始から30分で用意された200着が完売。あまりの人気ぶりに、開発責任者も「予想以上」と驚きを隠さない。
「従来の白Tは下着の延長線上」
開発・製造を手がけたのは、2015年に結成された「透けない白T製作委員会」。
これは、白いTシャツを着た男性の乳首が透けてしまうことに、以前から「疑問や課題感」を抱いていた個人が集まって結成した団体だ。クリエティブ企業の「アール」(神奈川県逗子市)の川辺洋平代表をはじめ、アパレルやIT業界などから計20人が参加している。
製作委員会のメンバーによる2年以上に及ぶ「乳首の透けないTシャツ」の研究開発で分かったのは、
「従来の白Tは、生地も、仕立て方も、下着の延長線上でつくられている」
ということだった。そこで委員会は、Tシャツに使用する「綿」を選ぶところから始め、生地の厚さや縫い方などを徹底的に追及。その結果生まれたのが、
「水浸しになったりしない限り、絶対に乳首が透けない白Tシャツ」
だ。
原料の綿は選び抜いたインド産やアメリカ産のオーガニックコットンを100%使用し、紡績や縫製などは全て日本で行った「こだわり」の一着だ。ビジネスシーンやフォーマルな場でも「正装」として着て欲しいとの思いから、商品名を「正装白T」と決めたという。
J-CASTニュースの3月3日の取材に応じた川辺氏は、今回の製品について、
「正直、全くの『門外漢』からのスタートだったので、開発に当たっては試行錯誤の連続でした。ですが、綿の選び方から縫製方法まで徹底的にこだわったTシャツとなります」
と話す。「乳首が透けないTシャツ」という開発コンセプトを抱いたきっかけについては、
「前職がIT関連の企業ということもあり、個人的にもジャケットに白いTシャツで働く機会が多かったんです。仕事で白いTシャツを着ようとすると、乳首が透けてしまうことが気になります。同業者に聞いてみても、同じような声があったので、『透けない』Tシャツを作ってみようと思いました」
と説明する。
男性の乳首透け「生理的に受け付けない」
そんな「正装白T」は、以前から乳首などの「透け」を気にしていた男女の間で大きな注目を集めている。
ウェブ限定での先行発売では、用意された200着が販売開始から30分と経たずに完売。販売ページに購入希望者が殺到したためアクセスが集中し、一時はサイトに負荷がかかり重くなるほどの人気を集めた。こうした反響について川辺氏は、
「素直に驚いています。白いTシャツを着た際に乳首が透けることを気にしていた人が予想以上に多かったということでしょう」
と振り返っていた。
しかし、白いTシャツでの「乳首透け」を気にする人はそんなに多いのだろうか。「正装白T」の発売にあたって委員会が実施したウェブアンケート(回答期間は17年2月11日から12日まで、有効回答315人)によると、白いシャツを着る際に乳首が透けるかどうか気にしたことがある人は83.8%に及んだ。
また、「白いTシャツで乳首が透けている男性に対するイメージ」(複数回答)という質問では、「気持ち悪い」(55.6%)「生理的に受け付けない」(33.7%)などネガティブな意見がほとんど。なかには、「不衛生だ」(7.9%)「二度と会いたくない」(5.1%)と厳しく見る意見もあった。
とはいえ、年配の男性などの間では「乳首透け」を気にしない人も多いかもしれない。こうした層にどうアプローチしていくかを記者が聞くと、川辺氏は、
「意外と年配層からの問い合わせが多かったんです。話を聞いてみると、職場の女性社員の評判を気にしている人が結構いました。表面上は『気にしない』とは言いつつも、実は悩んでいる人も多いのかも知れません。そんな印象を受けました」
と分析していた。
3月5日には東京・千駄ヶ谷の白Tシャツ専門店で、「正装白T」100着を用意した展示販売を行う。だが、川辺氏は「(ウェブ販売での)反響を見ていると、すぐに売り切れてしまうのでは」として、
「すでに地方や海外からの問い合わせも来ています。これから増産して、また販売を再開したいと思っています」
と話していた。