タバコ片手に酒を飲み、大勢で楽しく話す。居酒屋ではおなじみの光景が消えるかもしれない。
飲食店内を「原則禁煙」とする新しい法案をめぐり、居酒屋も条件次第で禁煙になる可能性が出てきた。ますます肩身が狭くなる愛煙家からは悲鳴が聞こえてくるが、一部ではこれを機にタバコと別れを告げようと前向きにとらえる人もいた。
喫煙者「屋内で吸えないなら、代わりに...」
厚生労働省は2020年の東京五輪を見据えた受動喫煙対策のため、健康増進法を改正し、飲食店内の原則禁煙化に向けて動いている。その中で、例外として喫煙を認めるのは小規模のバーやスナックに限り、居酒屋やおでん屋、ラーメン店といった店舗であっても屋内禁煙とする方針で法案策定を検討していると、2017年2月27日付の朝日新聞デジタルや28日付のNHKなど複数のメディアが伝えた。
報道によると、居酒屋やラーメン店はレストラン同様に主に食事を提供する場であり、子連れや外国人の利用が少なくないため、タバコを吸わない人が受動喫煙にさらされるのを避けるねらいだという。
こうした中、厚生労働省は3月1日、「受動喫煙対策強化について(基本的な考え方の案)」と題する新たな資料をウェブサイトで公開した。飲食店は原則屋内禁煙とした上で、主に酒類を提供する小規模のバーやスナックは、喫煙禁止場所としないとの案だ。こうした場所でも、「管理権原者が喫煙を認める場合には、受動喫煙が生じうる旨の掲示と換気等の措置を義務付け」と補足している。ただし現段階で「小規模」がどの程度のサイズを意味するのか、具体的な数値は入っていない。
居酒屋やラーメン店といった店舗の扱いは例外の中に明記がなかった。仮に今後居酒屋が一般の飲食店と位置付けられた場合、小さな店舗を除けば専用喫煙室の設置が義務付けられる。客にとっては、談笑中でも「ちょっと一服」と席を外さなくてはならなくなるわけだ。
愛煙家からは悲鳴があがる。J-CASTヘルスケアの取材に答えた東京都内在住の20代会社員男性は、「苦痛だ」と不快感を露わにする。
「以前はくつろぎがてら利用していたファストフード店は、禁煙化してから行かなくなりましたよ。居酒屋は行くでしょうけれど、楽しみは半減しますね。屋内で吸えないなら、代わりに屋外で吸える場所を増やさないと、店の前とかで勝手に吸う人が出てきて路上が吸い殻だらけになるんじゃないですか。大体『子連れで居酒屋』(に来るから禁煙にする)とか、理解できない」
と、怒り心頭の様子だ。ツイッター上では、喫煙者だけでなく、そうでないユーザーからも反対論が挙がった。
「居酒屋が禁煙になるの超困る」
「居酒屋でタバコNOはやりすぎだと思う。そこまでするなら、タバコ販売自体の意義を問えよ」
「居酒屋でタバコ吸えないとか拷問かよ...喫煙者じゃないけど吸う人めっちゃかわいそうじゃない?」