PTAを入退会自由にした小学校 「ボランティアの力でこれだけやれる」

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   わが子の新入学・進級シーズンの到来とともにママを憂うつにさせるPTAの役員選び。PTAと断固闘って理不尽な役員の押し付けを撤回させたママの奮闘を取材したJ-CASTヘルスケア2017年2月24日付記事「たったひとりでPTAに立ち向かったママ 『私は壮絶バトルで役員免除を勝ち取った」は大きな反響を呼んだ。

   PTAは任意団体だから本来入退会は自由なはずだ。それを強制的に加入させているところに問題の原点がある。「PTA問題」の第2弾として、PTAの入退会を自由にして役員をスリム化、ボランティアを中心に運営するシステムに変えて、「役員の押し付け合い」をなくしたユニークな小学校の取り組みを紹介する。

  • 運動会のPTAスタッフもボランティアが行なう(写真はイメージです)
    運動会のPTAスタッフもボランティアが行なう(写真はイメージです)
  • 運動会のPTAスタッフもボランティアが行なう(写真はイメージです)

2代のシングルファーザーPTA会長の挑戦

   その小学校は、札幌市東区にある市立札苗小学校だ。NHKや日経新聞など、これまで多くのメディアに紹介されてきた。J-CASTヘルスケアが取材を申し込むと、残念ながら中島正彦教頭からこう断られてしまった。

「最近、メディアから問い合わせが非常に多くなり、それに1つ1つ対応することが大変になってしまいました。そこで、公平を期するためにPTA役員会で取材をすべてお断りすることを決めました。その代わり、PTAのホームページ(ウェブサイト)に活動内容を詳しく報告しておりますので、ご覧になってください」

   札苗小学校PTAのサイトには、運動会、餅つき大会、ふれあい祭りといった行事とともに、過去に取り上げたメディアの記事もアップされている。それらを参考に、札苗小学校PTAの活動を紹介しよう。

   始まりは2013年2月のPTA総会。PTAの会則に「入退会の自由」を盛り込むことを賛成多数で決め、役員組織を大幅にスリム化した。具体的には、会則の会員を「会員は......会の目的や趣旨に賛同し入会を希望した者とする。ただし、その目的と趣旨から、全ての保護者、教師の参加が望ましい」とした。また、役員も「広報委員会」「美化委員会」などの従来の委員会制度をやめ、事務局だけにした。事務局は会長1人(保護者)、副会長2人以上(保護者・教師1人以上)と事務局員6人(保護者3人・教師3人)だけだ。それ以外、様々な活動に必要な人間をそのつど自主的なボランティアでまかなっている。

   改革を始めた当時の会長は上田隆樹さん。妻を病気で亡くし一人娘を育てるシングルファーザーだ。上田さんは、2013年6月12日付読売新聞「変わるPTA① 原則いつでも入退会自由」の中で、経緯をこう説明している(要約抜粋)。

「PTAのあり方に息苦しさを感じていた。広報誌作成、校内花壇の手入れ、登下校の見守り......。前年並みの活動内容と人員の維持を優先するあまり、自発的な活動の余地が残されていないように感じたからだ。子どもの卒業までに委員を2回以上務めるという、明文化されていないルールもあった。PTA活動から『やらされている感』を払しょくしたかった」
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