タレントのいとうまい子さん(52)がブログで兄の死を報告し、不動産会社への怒りを滲ませた。というのもお悔やみの言葉もなしに、兄が死んだマンションのフローリングを変えるため120万円出せと追い詰める言葉を使ったのだという。
いとうさんの兄は、自殺でも事件に巻き込まれたわけでもなく、ネット上では120万円が妥当なのか高すぎるのか、そもそもこうした場合に保証人が原状回復と損害賠償をしなければならないのか、と議論が紛糾している。
いとうまい子「自殺でもなければ、殺人事件でもありません」
いとうさんは2017年2月28日、「また会える日まで!」というブログをアップし、1月11日に2番目の兄が55歳の若さで突然他界し、四十九日も無事に終えたと報告した。死因は書かれていないが、
「自殺でもなければ、殺人事件でもありません。普通に寝たまま息を引き取ったのです」
という状態だった。そしてこの49日間は自分にとって過酷な日々だった、とした。というのも、不動産会社が数々の嫌がらせを仕掛けてきて、
「1日でも早く撤去させろ!死人が出たマンションは普通に貸せない!広告を出す時は死人が出たと表記する!フローリングを変えるから120万円払え!」
とお悔やみの言葉もなしに心無い言葉を投げかけてきたからだ。しかし、それも一つ一つ乗り越えてきて、解決まであと一歩となったと綴っている。
お兄さんの家族構成やどんなマンションに住んでいたのかは分からないが、ネット上ではこの「120万円」に注目が集まり、
「腐乱してたとして、その部屋のフローリングを替えるのに120万て高くね? 」
「事故物件になった事による賠償もしなきゃならんから、実際は120万は安い方だと思うよ、自殺とかだと300万とか500万とか普通に請求される」
などといった意見が出る一方で、
「保証人になってても払う必要はないよ。遺体の引き取りと荷物の引き取りはしないとあかん」
といったことが掲示板に書き込まれた。いったいどれが事実なのか、ネット上で議論が紛糾した。
原理原則は「保証人が費用を払う必要はない」
J-CASTニュースは3月2日、遺品整理が専門の第八行政書士事務所、谷茂代表に取材した。谷代表によれば、まず、連帯保証人は借主が自然死した場合でも修繕費用など借主が負っていた義務を果たす必要はあるが、自然死や病死など、生活を送る上で避けられないことについては、これから起こりうるであろう借り手が見つからない、家賃を減額する、などといった理由での損害賠償請求を、遺族や連帯保証人が負う必要は無い、と説明した。ただし、仮に遺体が腐乱していた場合に必要となるリフォームについては意見が分かれるという。
「明確な判例が無いためはっきりとは言えませんが、仮にフローリングを全て変えることになったとしても、保証人がその費用を払う必要はない、というのが原理原則です。ただし弁護士の中には負担すべきだと言う人もいます」
と明かした。自殺の場合は「故意」であるため、保証人に賠償責任が負わされる場合がある。谷代表が関わった案件に3LDKのマンションでの自殺があった。家主は全ての廊下や部屋のクロス、エアコン交換を望んだが、自殺した場所は風呂場だったため、風呂場だけのリフォームで落ち着いたのだという。ちなみに、遺体が腐乱し床が汚れ、部屋中に腐臭が染みついた場合の修繕費はどれだけかかるのだろうか。J-CASTニュースが2日に事件現場の特殊清掃を行う業者に話を聞いてみたところ、8畳のワンルームマンションの消毒とフローリング、クロスの全とっかえのリフォーム工事にかかる費用は40万~60万円必要だということだった。