NHKガッテン「不適切でした」異例の冒頭「お詫び」 「糖尿病の睡眠薬治療」を大部分訂正

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   NHKの生活情報番組「ガッテン!」は2017年3月1日の放送で、先週の2月22日に「睡眠薬で糖尿病が治療できる」などとした特集を放送したことについて、番組冒頭でおよそ3分間の時間を割いて謝罪した。

   今回の訂正放送では、「不適切でした」といった言葉が何度も繰り返された。結果としては、問題視された放送内容の大部分にわたり、大幅に内容の訂正を行った形だ。

  • 小野アナウンサーは「不適切でした」という言葉を繰り返した(画像は3月1日の放送より)
    小野アナウンサーは「不適切でした」という言葉を繰り返した(画像は3月1日の放送より)
  • 小野アナウンサーは「不適切でした」という言葉を繰り返した(画像は3月1日の放送より)

「(糖尿病治療に)睡眠薬を使うことは認められていません」

   3月1日の放送で訂正と謝罪を行ったのは、「ガッテン!」のMCを務めるNHKの小野文恵アナウンサーだ。その冒頭では、

「説明が不十分だったり、行き過ぎた表現があったりしたため、混乱を招いてしまいました。大変申し訳ありませんでした」

と問題となった22日の放送内容について謝罪。本来は、糖尿病の患者に多い睡眠障害を治療することが、結果として糖尿病の治療につながるといった研究結果を紹介することが番組の趣旨だったとしたが、

「あたかも睡眠薬で糖尿病の治療そのものが、できるような表現をしてしまったため、『睡眠薬の不適切な使用を助長している』とのご批判をたくさんいただきました。糖尿病の治療をするために、直接睡眠薬を使うことは認められていません」

と訂正。「誰もが睡眠薬を貰って糖尿病を治療できるような誤解を与えてしまいました。お詫びいたします」と謝罪した。

   続けて、番組での睡眠薬の紹介の仕方も「不適切でした」と謝罪。番組は、「オレキシン受容体拮抗薬」だけが副作用が少なく効果的だとすすめるような作りになっていたが、

「他の睡眠薬でも同様の研究は進んでいるため、どの睡眠薬がよいとは一概に言えない」

と訂正した。

   また、問題の放送では、番組が紹介した睡眠薬について「副作用の心配が少なくなっているので、糖尿病患者でもわりと気軽に飲める」という医師のコメントを紹介していた。この点についても、

「複数の副作用が報告されています。(略)慎重な取り扱いが必要な睡眠薬について、副作用がほとんどないかのような表現をしたことは不適切でした」

とした。

「一段と正確な情報収集に努め、皆さんのお役に立てるよう・・・」

   続けて、問題の放送の後半で取り上げられた「睡眠の深さ」と糖尿病の関係に関する実験についても、

「(紹介した研究は)睡眠時間の長さが糖尿病の予防において重要だというものでしたが、(睡眠の)深さが関係あるかのように紹介してしまいました。不適切でした」

と訂正。「協力頂いた研究機関の皆様におわび申し上げます」とした。この部分については、日本睡眠学会などが2月27日に発表した抗議文の中でも、

「番組内で引用されていた科学研究論文の内容と全く異なっており、完全な誤用もしくは捏造と言わざるを得ません」

と厳しく指摘していた。

   その後、訂正放送の終わりで小野アナウンサーは、

「今後は、一段と正確な情報収集に努め、皆さんのお役に立てるよう努力します」

とコメントし、深く頭を下げた。

   問題となったのは、2017年2月22日放送の「血糖値を下げる!デルタパワーの謎」と題した特集だ。番組では、糖尿病患者がある特定の睡眠薬を飲むことで、安全に血糖値を下げることができるなどと説明。テロップには「睡眠薬で糖尿病が治療できる」とも表示していた。

   この放送を受け、医療関係者を中心に番組内容を問題視する声が出ていたほか、厚労省医薬・生活衛生局の監視指導麻薬対策課がNHKの担当者に口頭注意。NHKは2月26日夜に番組公式サイト上に謝罪文を掲載したが、翌27日には日本睡眠学会が抗議文を発表するなど、批判の声が拡大していた。

   約3分間にわたる訂正放送の後、「ガッテン!」は通常の番組内容を放送。そのテーマは「決定版!コラーゲンの効果100%活用SP」というものだった。

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