学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、安倍晋三首相と同学園の籠池泰典理事長の言い分に食い違いが出ている。
安倍首相と籠池氏の間に面識があるかどうかや、昭恵夫人が小学校の「名誉校長」就任を承諾していたかどうかについて、異なる見解を示している。
「教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」
安倍首相は2017年2月17日の衆院予算委員会で、森友学園について
「妻からですね。この森友学園ですか?の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」
「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね、その方から、小学校を作りたいので『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが、私はそこでお断りをしているんですね」
と答弁していた。学園が17月4月に開校を目指している小学校を「安倍晋三記念小学校」とする申し出を断ったと説明する答弁だが、総じて学園については好意的だ。
だが、2月24日の衆院予算委員会ではこれが一転。依頼を断った経緯について、籠池理事長のことを
「この方は非常にこだわるというか、そう簡単に引き下がらない人」
と表現し、
「たとえ私が自費で学校を作ったとしても安倍晋三小学校になんかしないですよ。普通これ、常識で考えて当たり前じゃないですか。そんな、私はタイプの人間ではないんですよ」
と述べた、「絶対にやめてもらいたい」と「再三申し上げている」と念を押した。
「非常にしつこい中においてですね、あのー、しつこいと言ったら非常に...何回も何回も熱心に言ってこられる中にあってですね...」
とも話した。
理事長、昭恵夫人から「承認されてから紹介」と主張
安倍首相と籠池理事長の発言の間に食い違いも目立ちつつある。ひとつが、昭恵氏が小学校の「名誉校長」に就任し、辞任した件だ。安倍首相は2月24日の答弁で、15年に昭恵氏が行った講演直前の待合室で名誉校長就任を依頼され、「そこでは断った」が、その後の講演の檀上で
「突然その場でですね、籠池さんからそのように(就任を)紹介されて拍手をされた」
ために結果として断れなかったなどと説明していた。
これに対して、籠池理事長は2月26日のNHKのインタビューで、
「(就任を昭恵氏から)承認されてから紹介をさせていただいたということで、私の方は理解している」
と反論。もっとも、
「その辺のところは、ご夫人が発言されているわけじゃありませんので...」
とも話し、夫妻間の「伝言ゲーム」の可能性も指摘している。
二つ目が、安倍首相と籠池理事長の間の「面識」の問題だ。安倍首相は2月24日に
「(籠池理事長からの講演依頼を)お断りする際に、電話に代わって話したのが、ほとんど唯一に近いと思う。個人的にお目にかかったということは、何か大きな会の中で来られていたかも知れないが、それはあまり記録(編注:「記憶」の言い間違いか)には残っていない」
と述べていたが、籠池理事長は「週刊朝日」3月10日号(首都圏では2月28日発売)で、
「5年ぐらい前にPTAの紹介で知り合った。首相になられる前で昭恵夫人と先に知り合って小学校の見学に来てもらい、住吉大社にもご一緒させていただいた」
と話している。両者の認識の隔たりは大きく、野党の追及は続きそうだ。