第89回米アカデミー賞の発表・授賞式で前代未聞のミスがあった。作品賞のプレゼンターがなんと、誤った作品名を発表してしまったのだ。
原因は封筒の渡し間違え。すぐに訂正されたものの、訂正前の作品の関係者がすでに壇上でスピーチを始めており、会場は大混乱。日本の中継番組で司会となったジョン・カビラさんは、「封筒の管理ミス」を指摘する。
「間違いがあった。冗談ではない」
発表・授賞式は17年2月26日(日本時間27日)、米ロサンゼルス・ハリウッドのドルビー・シアターで行われた。作品賞に輝いたのは、黒人少年の成長を描いた「ムーンライト」。同作は助演男優賞、脚色賞と合わせ、3部門で受賞している。
しかし、当初、作品賞はミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」(監督賞、主演女優賞、歌曲賞など6部門で受賞)と発表されていた。同作は13部門で14ノミネートされており、下馬評では大本命。それだけに、何らおかしくない発表だったが、実はこれ、誤りだった。
一体何が起こったのか。作品賞のプレゼンターとなった俳優のウォーレン・ベイティさんは、赤い封筒から作品名の書かれた紙を取り出した。もう1人のプレゼンター、女優のフェイ・ダナウェイさんがそれを見て、「ラ・ラ・ランド」と読み上げた。
大歓声の中、立ち上がる「ラ・ラ・ランド」陣営。関係者らが壇上へ向かう。ここまでは順調に進行していたものの、3人目のスピーチが始まった直後、ミスが明らかとなる。1人目にスピーチした出演者が突然割って入り、「間違いがあった。冗談ではない」と切り出した。そして紙を掲げ、「ムーンライトが作品賞だ」と宣言したのだ。