「保育園落ちた日本死ね!!!」。2016年2月15日にはてな匿名ダイアリーに書き込まれ、国会でも取りあげられたこの強烈な言葉は、解決が難航している待機児童問題の象徴となった。
政府は2017年度末までに待機児童ゼロを目指すとして、2013年から「待機児童解消加速化プラン」を掲げてきたが、安倍晋三首相は2017年2月17日の衆院予算委員会で達成は厳しい状況と発言。先行きは不透明な状態だ。
従業員だけでなく地域住民にも開放
JNNは2月23日、首都圏で保育所不足が深刻だとされている自治体に調査を行ったところ、すべての自治体で申込者数が増加していることがわかったと報じた。回答があった22の自治体で申込者8万5282人に対して、入園内定者は5万6746人。内定率は66%で、3人に1人が保育園に落ちたことになるとしている。
厚生労働省が毎年発表している「社会福祉施設等調査」によると、保育所の数は年々増加しつつあるが、申込者の増加に追い付いていない状況だと考えられる。
こうした中、保育所数増を加速させる可能性を秘めているのが、異業種の保育事業参入だ。
2月22日には家電量販のビックカメラが、同社池袋本店などで働く従業員の子どもを中心に最大30人を受け入れる事業所内保育所「BIC KIDS」を、5月26日に池袋で開園すると発表した。従業員のワークライフバランスや育児、継続就業それぞれの支援の推進を目的とする。
加えて、地域住民の利用にも対応する予定だ。その理由について、J-CASTヘルスケアがビックカメラ広報に取材をしたところ、「今問題となっている待機児童問題に弊社としても貢献したいと考えている」と答えた。同社として初めての試みで、今のところ他事業所での開園は予定していないが、好評であれば検討する可能性もあるという。
企業の中に設けられる事業所内保育所は着実に増加しつつある。厚労省が2015年に発表した「認可外保育施設の現況取りまとめ」によると、2014年の4480か所から2015年には4593か所、2016年はさらに約200か所増加する見込みとなっている。
「事業所内」といっても従業員限定ではない保育所は少なくない。その場合、自治体が「従業員枠」と「地域枠」を設けており、区役所や市役所で地域枠の申し込みを受け付けている。
2003年から事業所内保育所を運営している資生堂は、2月20日、民間保育事業最大手のJPホールディングスと合弁会社「KODOMOLOGY(コドモロジー)株式会社」を設立。事業所内保育所の運営受託事業に乗り出すと発表した。