日経「政府の認識に違和感はない」
これらに対し、景気の堅調さを肯定的に受け止めるのが日経(2月14日)だ。「『景気は緩やかな回復基調が続いている』(石原伸晃経済財政・再生相)という政府の認識に違和感はない」と言い切り、「けん引役は企業部門」として、輸出のほか、設備投資のプラス指摘し、「民間の在庫投資が成長率を押し下げたが、在庫調整が進展した結果ともいえる。先行きの生産も増勢を保つとの予測が多く、企業部門を下支え役とした日本経済には一定の底堅さがある」と分析する。ただ、トランプ政権の保護主義への警戒感は他紙と同様だ。
景気の先行きに関して、各紙が共通して消費底上げの重要性を説き、春闘における賃上げの必要を指摘する。「固定費上昇を避けたい事情はわかるが、各企業は消費刺激効果の高いベアに努めてもらいたい」(読売)「余力のある日本企業は攻めの投資を進めつつ、賃金や配当の形で家計にしっかりと還元してほしい」(日経)などと訴えている。
個人消費に絡んで、将来不安の解消の必要性を主張したという点でも共通している。「働き方改革で雇用や賃金の格差是正を急ぎ、消費底上げを図る必要がある。少子化対策を加速し、人口減を食い止め、消費や投資を拡大する環境整備も大事だ」(毎日)、「消費低迷は、社会保障への将来不安が一因でもある。持続可能な財政と社会保障制度の再構築という宿題も忘れてはならない」(日経)といった具合だ。
また、毎度おなじみの「お題目」の感もあるが、構造改革や技術革新、生産性向上の必要にも言及するものが多く、「新産業育成につながる規制改革を加速したい。政府は、人工知能などの活用を柱とした「第4次産業革命」への支援を着実に実施すべきだ」(読売)、「0%台とされる潜在成長率を高める規制緩和や構造改革などを加速すべきは当然である」(産経)などと書いている。
社説では取り上げていない朝日も2月14日朝刊の解説記事で、「最大のネックは、GDPの6割近くを占める個人消費の低迷だ」として、特に子育て世帯や60歳代前半の世帯で節約志向が強いと指摘。「賃金が多少上がったところで将来不安の方が大きく、中間層の消費はしばらく戻らないだろう」という、ある百貨店首脳のコメントを紹介している。