ビール復権でめざす 脱「不動産のサッポロ」

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若者の間でもビール回帰の動き

   強気の背景には、じり貧が続いてきたビール市場の復調がある。節約志向が続く中、低価格の第三のビールなどの需要は依然強いが、作り手の個性を前面に出した「クラフトビール」がブームとなるなど、ビール離れが指摘されていた若者の間でもビール回帰の動きが出てきた。

   また、2017年度税制改正大綱には、第三のビールや発泡酒より高かったビールの酒税が減税される方針が明記された。減税でビールの販売価格が下がれば、ビール回帰はより進むとみられている。サッポロはこうした点も追い風に、シェアを拡大する作戦だ。

   だが、ビール好調とはいえ、なお業績を下支えしているのは、工場跡地などを活用した不動産事業だという構図に大きな変化はない。2016年12月期は複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」の賃料収入が増えたことなどから、同事業の営業利益は前期比24%増の103億円と絶好調。全体の営業利益202億円の半分近くを占め、国内酒類事業(営業利益117億円)と並ぶ「稼ぎ頭」だ。2017年は、東京・銀座4丁目交差点の旧サッポロ銀座ビルを再開発して2016年9月にオープンした商業ビル「GINZA PLACE(銀座プレイス)」が年間を通じてフル稼働するため、業績へのさらなる貢献が期待されている。

   もっとも、銀座プレイスの開業で再開発案件は山を越え、不動産事業は今後も安定的な収益を稼ぎ出すものの、どんどん拡大していけるわけではない。持続的な成長には、やはり本業のビールの立て直しが急務と言える。現在の勢いを持続し、「万年シェア4位」を返上できるのか。サッポロの真価が問われそうだ。

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