従業員数、10年前と比べて3割増える
一方、ヤマト運輸はこれまで荷受け量の増加には人員の増強で対応。グループ全体のドライバーを含む従業員数は約20万人で、10年前と比べて3割増えており、「会社側が人員増に取り組んでいることは承知しています」と、労働組合側も理解している。
人員増が会社の収益にも影響し、ヤマト運輸の親会社のヤマトHDは2017年1月末、人手不足による人件費の高騰や外部委託費の増加などを理由に、17年3月期の連結営業利益の予想を、前期比15%減の580億円(従来予想は650億円)に引き下げた。
深刻化するドライバー不足に、思うように人員を確保できない懸念は強まるばかり。ヤマトHDは「人手不足の問題は再配送だけが原因ではありませんし、荷物の多い都市部ほど(人手不足が)深刻になるなど、地域差もあります」と説明。「再配送については、コンビニエンスストアや電鉄会社などと提携して、宅配ロッカーや宅配ボックスの拡充に努めているところです」とも話す。
ヤマトHDの株価は2017年2月24日の終値で、前日比39円50銭高の2493円50銭で引けた。4日続伸で、一時は2454円まで上昇した。日本経済新聞の「宅配総量抑制へ」との報道があった23日には朝から買い気配が強まり、21日と比べて19円高と大幅に上昇。組合側の提案に「会社側も応じる方向」と伝わったことに、好感したようだ。
その一方で、ヤマト運輸に宅配を依存していたネット通販は、痛手だ。たとえば、物流でヤマト運輸への依存度が高い、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの株価は2月23日には前日比72円安の2384円。24日も17円安の2367円で引けた。荷受量の増加が抑えられた場合は、「ZOZOTOWN」の成長にも影響があるとみられたためのようだ。