大谷翔平のWBC辞退が決まった途端、プロ野球の関心が薄れているようである。加えてサッカーをはじめとする各競技の元気の良さが目立つ。
大谷欠場で潮が引くように野球の話題が減った
「大谷翔平のプロ野球、という感じだな」
プロ野球のOBたちの声である。確かに、大谷がWBC不参加が決まると、潮を引くようにプロ野球の話題が少なくなった。
「WBC辞退でも、メディアが追うのは大谷。今のプロ野球で絵になるのは大谷が一番だから」
テレビ関係者も認める。
この間、プロゴルフで松山英樹が米ツアーで優勝。来年の冬季五輪出場競技でもスキージャンプの高梨沙羅がW杯で最多記録達成などニュース、話題が続いている。
球界関係者がもっとも恐れているのがサッカーの存在だ。
記憶に新しいだろうが、サッカーは英国の動画配信会社と10年間で2100億円の契約を交わしている。このあおりを受けたのがスカパーで、昨年末から1か月で10万件の解約があったと報じられた。
影響を受けるだろうといわれているのはプロ野球も同じである。侍ジャパンで高収入を目論んだが、その成果は胸を張るほどではないという。
このままではジリ貧状態、とプロ野球界は対策を迫られている。メディアの露出度が減っており、それはCMに響く。
「いい試合を見せることが大事」
これが球界幹部の対策。毎度の話である。毎年のようにスター選手がメジャーに行っていることが魅力を失っている大きな理由なのだが、あまり認めたくないらしい。
菅野が投げるときに勝たないといけない
「やはり巨人が勝たないと盛り上がらない」
お決まりのセリフが関係者から出る。巨人ファンは圧倒的に多いから正しい意見なのだが、その巨人は期待にこたえられるのか。
昨年は2位。しかし、クライマックスシリーズでDeNAにまさかの敗退。それも本拠地でやられるという屈辱を味わった。高橋由伸監督は早くも「カド番」といわれる今シーズンである。
2017年2月1日から宮崎で、中旬から沖縄でキャンプ。国内外から選手をかき集めてペナント奪回を図っている。
「強い」という話はあまり聞かれないけれども「弱い」という声もない。つまり、つかみどころがない、ということなのだろう。
極論すれば、エースの菅野智之をどのくらい勝たすことができるか、という」ことに尽きる。昨年は好投しながら勝てず、9勝にとどまった。安定感からして信じられない数字で「昨シーズンの七不思議の一つ」だった。15勝をクリアすれば打線が奮起した証となり、その相乗効果が見込める。
「巨人が勝たないと、プロ野球は盛り上がらないので、そうなるように頑張る」
そう語る高橋監督がもっともプロ野球の現状を理解しているようだ。プロ野球の活性化の秘策は「巨人優勝」。代わり映えしないが...。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)