娘の写真、デマに悪用された父親の執念 投稿者突き止め、慰謝料支払わせる

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   新潟市内の社会福祉士の父親(38)が、当時0歳だった娘の写真を使ってネット上でデマを流していた関東地方在住の男性を突き止め、慰謝料などを支払わせていたことが話題になっている。

「相手の男性に手紙を出したら、男性の弁護士から『確かにやりました』と電話や文書で連絡が来ました」
  • 娘は将来どう思うのだろうか(写真は記事とは関係ありません)
    娘は将来どう思うのだろうか(写真は記事とは関係ありません)
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「デモに連れて行かれ、熱中症で還らぬ人に...」

   父親の代理人を務める斎藤裕弁護士は2017年2月24日、J-CASTニュースの取材にこう明かした。

   悪用された娘の写真は、父親が14年8月2日に集団的自衛権の閣議決定に反対する東京都内のデモに参加したとき、母親に抱かれている娘を電車内で撮ってツイッターに投稿したものだ。

   それが15年7月26日になって、何者かにツイッター上で無断転用された。そこでは、「【拡散希望】安保反対国会前デモに連れていかれた、我が孫、聖羅が熱中症で還らぬ人になってしまいました」などとウソの内容が書かれていた。泣き顔の写真だったことを利用し、「聖羅は何度も何度も帰りたい、と母に泣いてたそうです」と訴えていた。

   翌27日に父親がこの投稿に気づき、ツイッター上で元気な様子の娘の写真をアップし、デマであることに注意を呼びかけた。

   ネット上では、投稿者に対して非難の声が上がったが、同時に、デモに子供を連れて行くのが悪いなどとの指摘も相次いだ。

   これに対し、父親は、娘に水分補給したり、疲れたらデモから離脱して休憩したりしているとツイッター上で理解を求めた。その一方で、熱中症対策をしたうえで、子連れデモはどんどんやるべきだと反論した。

   父親は、当初は投稿者に法的手段を取る考えはないとしていた。しかし、悪質なことには対応するべきだと考えを改め、肖像権の侵害だとして、米ツイッター社の開示を受けて、ネット接続業者のプロバイダーに対し、デマ写真の投稿者の情報開示を求めて新潟地裁に提訴した。

「安保法案の運動を小さくさせたかった」

   新潟地裁は、16年9月30日の判決で、投稿者の住所とマンション名の開示をプロバイダー側に命じ、斎藤裕弁護士が投稿者の特定に動いていた。

   そして、父親と斎藤弁護士は17年2月23日、新潟市内で記者会見を開き、投稿者の男性を1月中に特定し、20日付で男性との示談が成立したことを明らかにした。

   それによると、デマ写真を投稿した男性は、父親に向けた謝罪文を書き、慰謝料や調査費も支払った。その額は公表されてない。デマを流した動機については、「安保法案の運動を小さくさせたかった」などと書いてあった。

   斎藤弁護士は、J-CASTニュースの取材に対し、弁護士会の照会制度を使って男性と連絡を取ることに成功し、男性側はすぐに手紙への対応をしてきたと説明する。

「男性とは会っていませんが、男性の弁護士が説得し、本人も反省を示す謝罪文を詳細に書いてきました。慰謝料やかかった費用も、丸のみしていただきました。こちらで民事案件だと判断しましたので、警察は動いていません」

   示談成立について、ニュースのコメント欄などでは、「虚偽ツイートは本当に迷惑で絶対にやっちゃいけない」などと当然の報いだとする声が出た。その一方で、「デモに小さい子供連れて行くのもやっちゃいけない気がする」「自分の子供の画像を安易に晒す親にも大きな責任があります」といった声も未だに書き込まれている。

   この点について、斎藤弁護士は、「デモに子供を連れて行くかは親の考え方であり、してはいけないとの認識はないです。子供の写真については、それ以降は友人限定に公開するなど配慮していると聞いています」と話している。

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