女子大生の約9割が、「恋愛すると女性ホルモンがたくさん出る」と考えている――。こんなアンケート結果を聞いた産婦人科医の宋美玄(そん・みひょん)さんは、苦笑気味に「出ませんよ」と言い切った。
女性の体にまつわる、こうした根拠のないうわさがある。宋さんは「だまされないで」と呼びかけた。
冷たい食べ物で子宮が冷える?
宋さんは2017年2月24日、「女性の体と性に関する誤った情報」をテーマに東京都内でセミナーを行った。冒頭のアンケート調査はドコモ・ヘルスケアが実施したものだ。「恋やセックスしても女性ホルモンは出ませんよ」と真っ向から否定した宋さんは、続けてこう説明した。
「(女性ホルモンは)ストレスや体脂肪では変わり得ますが、恋をしても変わらず、卵巣から淡々と分泌されます。セックスすると綺麗になるとか、逆にしていないとヒゲが生えてくるとか言われますが、そんなことはありません」
他にも、アンケートでは77%の女性回答者が「冷たい食べ物で子宮が冷える」と考えていたが、宋さんは「子宮には太い血管がいっぱいあり、体の中でも保温性が高いので、冷たい物を食べたくらいでは冷えません」と正した。
インターネット上には、こうした迷信がほかにも出回っている。例えば、「ピルは体に蓄積して病気の子どもが生まれる恐い薬だ」との説。宋さんは「ピルは代謝されて体外へ出ていきますので、蓄積もしなければ子どもに悪影響も与えません」とズバリ断言した。
正しい知識を説明しても「ネットでは違う...」
アンケートは「女性の体の仕組みや性の情報をどこから集めているか」という質問があった。最も多いのは「インターネット」の66%、他に「雑誌や本」24%、「テレビ」18%などがあり、「病院の先生」は10%にとどまった。宋さんによると、患者によっては医師として正しい知識を説明しても「インターネットには違うことが書いてありました」と反論される場合もある。また、体の悩みがあっても、恥じらいや金銭面で婦人科に行くのをためらう女性は多いという。
宋さんは「スマートフォンの中だけで情報が完結する人は多いですが、その情報がどこまで信じられるか、信頼できる専門家が述べている内容か、といった点まで考えて読むのが大事です」と助言した。