一時、別の毒物「パラチオンメチル」との報道も
実行犯は犯行直後にトイレに駆け込んだことが防犯カメラの映像から明らかになっている。マレーシア警察はこの点を根拠に
「(実行犯は、自分が手にしていた物体が)毒物だということはよく理解していたはずだ。だから手を洗いに行かざるを得なかった」
と主張しているが、井上氏は、実行犯は手を洗っただけではなく、手袋やスポンジをトイレに流して証拠隠滅を図ったとみている。
マレーシア警察の「素手で犯行」という不可解な発表の背景については、
「警察は実行犯の供述をもとに発表したのだろうが、実行犯は『素手でやった』と供述するように北朝鮮から指示されたのでは」
と分析している。
正男氏の遺体から検出された毒物をめぐっては、朝日新聞が2月24日朝刊(東京本社最終版)で
「『パラチオンメチル』とみられる物質」
と伝えていたが、警察発表後に発行された夕刊(同)では
「捜査当局は当初、成分構造からパラチオンメチルという物質の可能性があるとみていたが、最終的に同じリンを主成分とするVXだと判断した模様だ」
と軌道修正した。