多くの客は今も「入れ墨の人は来ないでほしい」
一方、スーパー銭湯など「その他公衆浴場」が入れ墨を理由に入浴を断っていた理由は、暴力団対策だったと温浴振興協会の担当者は話す。今は取締りが厳しくなり、入れ墨のある暴力団員が来店するケースはほとんどなくなったが、利用者はいまだに「入れ墨お断り」を強く求めているという。
「お客さまにアンケートを取ると『入れ墨やタトゥーの人は来ないでほしい』という声が多く、営利企業としてはその意見を無視できないのが現状です」
最近ではファッションとして入れ墨やタトゥーを入る人が珍しくない。だが、拒否感を持っている人にとっては入れ墨に変わりはない。理解を求めるのは容易ではなく、各浴場も対応に苦慮しているようだ。
現在、温浴振興協会では入れ墨を隠せるようなシールを開発しているが、皮膚に貼りつけるシールは絆創膏になるため、そのまま入浴するには保健所の指導を受ける必要があり、実際に運用可能かは不透明だ。どの程度のサイズにするかといった点もまだ決まっておらず、解決法の模索が続いている。
なお、旅館やホテルの温泉の場合、法的には公衆浴場の対象外となっている。入れ墨の客の入浴を認めるかどうかは、旅館業法のもと各宿泊施設の判断に任されている。