離婚した夫に対し、元妻が自分の妹になりすまして手紙を送り、「姉が死にその葬儀代が足りない」と騙し、口座に35万円を振り込ませたとし、長崎県警佐世保署は2017年2月21日に詐欺の容疑で女を逮捕した。
この元妻は電話でも元夫と会話して金を借りる相談をしているが、元夫は電話口の相手が妹だと信じていた。詐欺を見破ったのは元夫婦の息子だった。
「姉が亡くなったが葬儀代が足りない」
佐世保署にJ-CASTニュースが22日に取材したところ、群馬県大泉町の無職の女(63)は自分が死んだことにし、自分の実の妹になりすまし佐世保市に住む元夫(72)に、「姉が亡くなったが葬儀代が足りない。姉の口座に振り込んでほしい」という手紙を16年9月と10月に2度送り、インターネットバンキングで35万円を振り込ませた。さらに11月、妹に成り済まし元夫の元に電話し「お金を貸してほしい」と頼んだ。
この元夫婦は40年ほど前に離婚していて、ずっと接触がなかったため、元夫は元妻の妹の声だと信じていた。それで電話での借金を快諾するのだが、女が指定した日時までの送金が間に合わなくなった。それで、埼玉県に住む元妻の妹の家に電話をし、送金が遅れる旨を伝えようとしたが、電話がつながらなかった。元夫は約束が守れないことを心配し、息子にどうすればいいかを相談すると、息子は、
「母親が死んだという話は聞いていない!」
と驚いた。
息子があわてて電話すると死んだとされた母親が出た
その母親は再婚し、群馬県に家庭を持っている。息子にとっては実の母親のため連絡先は知っているし、葬儀には呼ばれるはずだ。息子があわてて母親の家に電話をすると、その電話に出たのは死んだとされた母親だった。それで父親が騙されていることが分かったという。こうした経緯を佐世保署に相談し、署は捜査を進め、17年2月21日に女を逮捕した。女は「手紙を出したが騙してはいない」と容疑を否認している。署はJ-CASTニュースの取材に対し、
「詐欺を働いたのは捜査によって確認できている。動機は何か、騙し取ったカネを何に使ったのかはこれからの事情聴取になる」
と話していた。