東京電力福島第1原発事故時の政府対応を批判したメールマガジンで名誉を傷つけられたとして、菅直人元首相が安倍晋三首相に謝罪記事の掲載や慰謝料など1100万円の支払いを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は2017年2月21日付で、菅氏の上告を退ける決定をした。菅氏の敗訴が確定した。
問題とされたのは、安倍首相が11年5月20日のメールマガジンで、原子炉を冷やすための海水注入について「海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だったのです」などと批判した部分。1審・東京地裁、2審・東京高裁はともに「記事の主要部分は真実」で名誉棄損にはあたらないとして請求を棄却していた。
安倍首相は、22日にツイッターとフェイスブックで、判決は「まさに『真実の勝利』」だとし、
「元総理が現職の総理を告訴し、裁判で争うことになったことは残念でなりません。私は総理としての時間の一部を裁判のために割かざるを得ないことになりました」
「菅元総理は前々回の参院選挙の直前に突然、私を告訴しました。私を貶めることを目的とした売名行為にほかならず、菅元総理の猛省を求めます」
などと、菅氏を非難した。
一方、菅氏も同日にツイッターを更新。
「一言でいえば安倍総理のメルマガは内容的には虚偽、つまりウソであることは一審、二審で安倍総理側も認めたが、そのウソは私に対する名誉毀損には当たらないというのが裁判所の判断。政治家の発言はますます信用されなくなる」
などと判決に不満をぶつけた。