高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
安倍首相「働きかけ」有無の調べ方 「国有地売却」問題のキモ

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価格算定が不適正なら、財務局の事務ミスということに

   また、安倍首相自身も、かつて財務省からの情報リークで苦しめられた経験もあり、財務省が政治家を籠絡する手口も知っているので、財務省案件に関与したとはちょっと考えにくい。もしあれば首相自ら明言しているように、総理の首が飛ぶ。

   いずれにしても、政治家から働きかけを受ければ、対処方針を決めて、現場の担当者へ伝える。通常であれば、現場の判断はそのままで、結果連絡について政治家にも当事者と同時か少し早く伝えるだけだ。

   政治関与がなければ、価格算定に財務局の事務ミスがあったかどうかという問題だ。本件の場合、土地価格9億超、地中のゴミ撤去費用8億円で、差し引き1億円超が売却価格となったわけだが、これが適正かどうかである。土地価格は鑑定評価を使い、ゴミ撤去費用の算定は国交省のものを使っている。それらが不適切であれば、財務局の事務ミスということになる。

   初期段階では、あまりに売却価格が低いということが一部で報道され、安倍首相・夫人が関与しているかもしれないということで過熱している。しかし、キモの政治関与のところの報道は憶測ばかりである。簡単に公開情報でわかったり情報公開請求できたりするものばかりなので、それらを踏まえたファクトに基づく報道がほしいところだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、 いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。 著書に「さらば財務省!」(講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)、 「これが世界と日本経済の真実だ」(悟空出版) など。


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