金正男氏(45)の暗殺事件は、これまで友好関係を保ってきたマレーシアと北朝鮮の間に決定的な亀裂を生むことになりそうだ。マレーシアの警察当局が2017年2月22日に開いた会見で、事件に関与した疑いがあるとして、新たに大使館と国営航空会社の職員の行方を追っていることを明らかにしたからだ。
事件の背後に北朝鮮の工作員が関与しているかについては「捜査中」として言及をさけたが、政府機関関係者を容疑者として名指ししたことは、北朝鮮当局が事件に関与していること示唆しているとも言える。
2人はまだマレーシアにいる
新たに容疑者として浮上したのは、在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官、ヒョン・グァンソン容疑者(44)、国営高麗航空の職員、キム・ウクイル容疑者(37)。会見したマレーシア警察のカリド・アブ・バカル長官によると、2人はまだマレーシアに滞在しているといい、北朝鮮大使館に対して、速やかに2人の事情聴取を認めるように要請していることを明らかにした。もし北朝鮮大使館の協力が得られなければ
「強制的にやらざるを得ない」
とも話した。
実行犯は「計画的犯行で、訓練を受けていたと確信」
すでに拘束されている実行犯の2人の女については、犯行時に正男氏の顔に塗りつけた物質が毒物だと認識していたかどうかについて、犯行後に急いでトイレに手を洗いに行ったことなどを理由に
「もちろん知っていた」
と断言。
「計画的犯行で、訓練を受けていたと確信している」
と話した。記者の
「北朝鮮は共同捜査を提案している。受け入れるか」
との質問には
「ノー。これは我々の責務だ」
と即答した。
北朝鮮側は、正男氏の遺体がマレーシア側から引き渡されないことに不満を募らせており、駐マレーシアのカン・チョル北朝鮮大使は、マレーシア側の対応を「不公正」で、調査には「政治的狙いがある」などと非難。これに対してナジブ・ラザク首相は2月21日の会見で、
「大使の発言は、外交的に失礼だとみなされる」
と強い不快感を示し、北朝鮮も
「事実関係の究明に協力すべき」
だとしていた。