電車落書き「これぞヒップホップ!」 Kダブシャイン投稿で議論沸騰

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   人気ラッパーのKダブシャインさん(48)が、横浜市営地下鉄の車両が落書きされた事件について「これぞヒップホップ」などとツイートしたことが、インターネット上で激しい議論を呼んでいる。

   議論の焦点となっているのは、今回の落書きを「犯罪行為」とだけ見るのか、それともヒップホップ特有の「アート」という側面を評価して考えるのかという点だ。ネット上ではKダブさんへの批判が目立つが、本人はどう受け止めているのだろうか。

  • 落書き被害にあった横浜市営地下鉄の車両(横浜市交通局提供)
    落書き被害にあった横浜市営地下鉄の車両(横浜市交通局提供)
  • 落書き被害にあった横浜市営地下鉄の車両(横浜市交通局提供)

「爽快感は禁じ得ない」

   そもそもの発端となったのは、2017年2月19日に起きた横浜市営地下鉄への落書き事件。市営地下鉄の計2車両の先頭部分などに、ペイントスプレーとみられるもので落書きをされたというもの。横浜市側は発見直後に管轄の警察署に通報している。

   22日のJ-CASTニュースの取材に応じた横浜市交通局の熊谷勝博車両課長によれば、落書きのサイズは最大で高さ1.2メートル、幅5メートルほど。何が描かれたかについては、

「アルファベットを図柄化したようなものだが、何が書かれているのかは判読できない」

としている。なお、落書きがあった車両は20日中に職員が1日がかりで清掃と点検を行い、21日から運用を再開しているという。

   こうした落書き事件について、Kダブシャインさんは21日のツイッターに、

「もっとやれー!と言ったら怒られるんだろうな。ただこれぞヒップホップ!!という爽快感は禁じえない」

と肯定的な意見を寄せた。その上で、「このまま走らせてみたい。個人的にはピカチューのジャンボジェットより好き」との感想も綴っている。

   確かに、スプレーやペンキを用いた路上への落書きは、ヒップホップという文化の中では「グラフィティ」と呼ばれ、重要視されてきた。実際、1970年代にニューヨークの黒人を中心に生まれた初期のヒップホップ文化において、グラフィティは「四大要素」の一つに数えられていた(他の3つはラップ、DJ、ブレイク・ダンス)。

   今回のKダブさんのツイートは、こうした文化的な背景を踏まえたものとみられる。だが、インターネット上では「犯罪を助長してる!」「これがヒップホップなら早々に廃れてもらいたい」との批判が殺到し、いわゆる「炎上状態」となった。

グラフィティは「文化」なのか

   投稿への批判が相次いだことを受け、Kダブさんは「現象として感傷に浸っただけで作品として賞賛した覚えはありません」と投稿の意図を説明した。それでも批判の声は止まず、ツイッターやネット掲示板には、

「ヒップホップやってる人からすると文化かもしれないが、関係ない人からすると迷惑行為。しかも犯罪」
「他人の財産に経済的な損失を与えるような文化は文化じゃなくてただの破壊活動だよ」
「自分の家に落書きされてもヒップホップだって言えるのか」

といった書き込みが相次いでいる。

   その一方で、落書き行為は「犯罪だけど...」という前提の上で、Kダブさんの意見に理解を示す投稿が出ていることも確かだ。ネット上には、

「白黒つけるならこれは犯罪。だけどカルチャーとしては如何ともしがたい魅力がある」
「正しい正しくないの話はしてないんだよな。あくまでヒップホップとしての話であって」
「ケーダブは何も間違ったこと言ってないし、それを批判してる人たちも何も間違ってない」

といった声も出ている。中には、「グラフィティがアートとして許容される土壌があってもいい」といった極端な意見もみられた。

「丹念に布教する以外ないと考えてます」

   こうしたグラフィティをめぐる議論について、発端となったツイートを寄せた本人はどう考えているのだろうか。Kダブさんは22日のJ-CASTニュースの取材に対し、問題視された投稿の真意について、

「今時電車にグラフィティとは懐かしいなとノスタルジーを感じた事をなにげなくツイートしました」

とツイッターを通じて回答。投稿がネット上で猛批判を浴びていることについては、

「まあそんなもんだよなというくらいの感想です。違法は違法ですからね。ツイートした通り、怒られるんだろうなと思ってたら怒られたという感じです」

と説明した。

   ただ、批判一色ではなくKダブさんの意見に理解を示す向きもあったことについては、「多様な価値観を感じられてむしろ健全だと思いました」。その上で、

「グラフィティだけに限らず、ヒップホップ全体も説明不足なところはまだまだあります。このカルチャーが誕生した時代背景やいきさつから丹念に布教する以外ないと考えてます」

としている。

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