粉飾決算のオリンパス株は約10倍に値上がり
とはいえ、東芝株がさらに下落するリスクがないわけではない。上場廃止の可能性もあるが、なにより東芝自身が存続可能なのかどうかだ。ある個人投資家は、「半導体事業そのものは、スマホのほか、最近はクルマにも搭載されるなど、まだまだ多くの需要が見込めそうです。誰もが『残しておきたい』と思うでしょうが、その残し方が問題。たとえば、かつてのカネボウやJAL(日本航空)のような再生の仕方も考えられますが、そのとき、株式は一たん紙くずになりますから」と話し、「安いからといって、買いたい銘柄ではないですね」と言い切る。
経営破たんしないまでも、2016年3月に鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されたシャープのように、株式売却に時間がかかり、その間にジワジワと株価が下落する可能性もないとはいえない。
当面の運転資金を早く確保したい東芝にとって、「買い手優位」な状況にあるのだから、シャープの二の舞に陥って、半導体事業が買い叩かれる懸念がないわけではない。経営再建の道のりはなかなか厳しく、現時点で悪材料が出尽くしたとは言いきれない。
ちなみに、オリンパスのように不祥事がひと段落したのち、株価が一気に回復する可能性がないともいえない。オリンパスは2011年11月に粉飾決算を認め、株価は一時424円まで急落。しかし、その後株価は上昇。アベノミクス効果もあって2016年2月には5000円近くに達した。2017年2月21日の終値は前日比30円高の3970円。急落時に買っておけば、約10倍もの値上がり益を得ることができたことになる。ただ、東芝がどういう道をたどるかは、不透明だ。