受験生が受け取る「不合格通知」は、事務的な「冷たい」文面と、気持ちのこもった「温かい」文面とのどちらが好ましいのか、をめぐりネット上で議論になっている。
はたして「正解」はあるのか。「言葉」のプロであるコピーライターに話を聞いた。
WEBで受験生に通知した文面
話題となっているのは、あるツイッターユーザーが「天下の関西学院大学と同志社大学の不合格通知の暖かさの違い」(原文ママ)とのコメントとともに投稿した2枚の画像だ。
画像には、関西学院大学(以下、関学大)と同志社大学(以下、同志社大)がWEB上で個々の受験生に宛てた「不合格通知」が、それぞれ比較される形で写っている。
関学大の文面を見ると、
「合格者リストにも補欠者リストにものっていません。不合格通知書は送付いたしません。なお、本サイトの見間違いを理由とした期間後の入学手続きは一切認めません」
と淡々と「不合格」を告げている。
一方、同志社大は、
「あなたにとっては残念な結果となりましたが、あなたの日々の学習努力に心から敬意を表します。(略)同志社大学は、あなたの挑戦を来年もお待ちしています」
と、受験生の心情を慮りつつ「不合格」を告げている。
両大学の広報課では、これが正式な通知であることを認めているが、対照的な文面に、受験生らの評価は分かれている。
ツイッターなどでは、
「これは同志社一択になりますわ」
「結果の通知文書とはいえ同志社の方が好感が持てるな...」
と、「同志社大」の文面を支持する声が挙がる一方で、
「不合格に暖かさはいらないっす!」
「ズバッと言ってくれるほうが嬉しいですけどね、、、」
と、「関学大」派も少なくなく、意見が分かれている。
「お祈りメール」にも議論が波及
こうしたツイートが拡散していることは両大学とも知っており、両大学の広報課はともに「反響に驚いている」という。
また、反響は、採用試験に落ちたときに企業から届く「不採用通知」(いわゆる「お祈りメール」)にも議論が飛び火し、
「企業のお祈りメールなんかもクソムカつくよな 不採用!で終わらせたほうがいいのに なんか逆にもう一生ここの商品買ってやんねーってなるような文面多すぎ」
「就活でもちゃんと対応してくれるとこは落ちても変かもしれないけど気持ちいいもんだよ 定型文のお祈りメールだけじゃそりゃ気分悪くなるけどさ」
といった意見も挙がっている。
では、「不合格者」への対応に「正解」はあるのだろうか。
通知にはSNSで公開されても、の視点が重要
株式会社「噂」と株式会社「コピーライター」の代表でもあるコピーライター・長谷川哲士氏によると、関学大の「不合格通知」は、
「受験生の感覚より、関学の感覚を優先したため、冷たく感じる人もいるかもしれません。」
と評価する。
一方、同志社大は、
「受験生の立場になって言葉を考えているので、同志社と同志になりたい気持ちになりました。「合格」と誤解されないように不合格をわかりやすく青字にしているのがやさしいです。がんばった受験生に対して、敬意を払ってくれ、来年も受験してくださいと語りかけられたらうれしいですよね」
と論じた。
大学や企業が何かを発信するときには、「『SNSで晒されても大丈夫か?』というのを心に留めておくとよいと思います」とアドバイスする。特に「お祈りメール」では「受験とちがって、実力どうこうではなく、合うか合わないか相性の問題ですので、応募者に対して、上から目線で接しないほうが賢明です」としている。