日本海の呼称問題で、韓国政府が「東海(トンヘ、East Sea)」の呼称を併記させようと攻勢を強めている。世界中の海の呼称のガイドラインについて話し合う国際会議の開催を2017年春に控えているためだ。韓国外務省は「東海」の正当性を主張する動画を制作し、国際社会にアピールしたい考えだ。
ただ、釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像の問題で、日本へ一時帰国中の駐韓大使らは帰任の見通しが立たないままだ。韓国メディアからは、今回の動画公開で「韓日関係がさらに悪化しそうだ」といった指摘も出ている。
IHO発行の海図、1928年の初版から「日本海(Japan Sea)」
国際水路機関(IHO)が発行する海図「大洋と海の境界」の表記が海の呼称のガイドラインだとされており、1928年の初版から「日本海(Japan Sea)」と表記されてきた。これが、日本政府が「日本海」単独表記を主張する根拠のひとつだが、韓国は1997年のIHOの総会から「東海」との併記を求め続けてきた。前回12年の総会では、現行版の「大洋と海の境界」について新たな決定は行われず、「日本海」の単一表記が維持されてきた。ただ、IHO総会とは別に、米国バージニア州では14年2月に「東海」を公立学校の教科書に併記するように求める法案が通過するなど、韓国側は外交攻勢を強めている。17年4月にはモナコで5年ぶりにIHO総会が開かれる予定で、動画公開で「東海」の正当性をさらにアピールしたい考えのようだ。
動画は「過去、現在、未来の名前、東海」と題して2月19日にユーチューブに公開され、20日には韓国外務省(外交部)のウェブサイトでも紹介された。現時点では英語と韓国語版が掲載されており、長さはそれぞれ6分と5分20秒。韓国メディアによると、過去にも学術機関などが政府の協力を受けて動画を制作することはあったが、外務省主導で政府予算を投入して制作するのは初めてだ。今後、日本語版や中国語版など10か国語が追加されるという。