新庄氏の貯金を「会社の資金に使っていた」
新庄氏はメッツ移籍後、開幕からメジャー入り。123試合に出場し、103安打を放つなど、チームに貢献した。オフに帰国すると、CM出演の依頼が殺到したという。
「リストバンド、あれをはめてください、と。わかりました。ばーっと送ってこられる。そのスポンサー料、4000万円。アンダーシャツ、2000万円。スパイク、ウン千万円。すごくない?」
新庄氏は当時をそう振り返り、「野球なんかマジ『バイト』」と実感したという。
新庄氏は2006年、ファンに惜しまれつつ引退した。悠々自適な生活を送ろうとバリ島へ移住し、妻との離婚を機に貯金を渡してもらうよう、Aさんに連絡した。自分の頭の中では「44~45億円稼いだから、税金の半分を引いても、22億円(残る)」(新庄氏)と思っていた。
だがAさんから告げられたのは、「(残高が)2200万円しかない」という衝撃的事実だった。聞けば、新庄氏の許可なく「会社の資金に使っていた」という。
新庄氏が返すよう求めても、Aさんは拒否。提訴しても、8000万円しか返ってこなかった。挙句の果てに12年、Aさんの破産宣告で裁判は強制的に終了してしまう。「わいたこら(なんだこれは)」。新庄氏はそう繰り返し、あらためて悔しさをにじませた。
スポーツ選手は競技に集中するあまり、金銭の管理に目を向けなくなる人が多い。新庄氏は番組で、どうしてもこれを伝えたかったのだという。「17年間、調べなかった自分のミス」と認めながらも、「僕のことを息子と思っていた」人物に裏切られたとし、
「年に1~2回はチェックした方がいい」
と助言していた。