噴水の水で幼女の下半身が重傷に プールや風呂場にひそむ危険

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   子どもの事故の危険はどこにひそんでいるかわからない。日本小児科学会は2017年1~2月、噴水の水が直撃するなどして女の子が性器に重傷を負う事故が相次いでいるとして、3つの事例の詳細をウェブサイト「Injury Alert」(傷害速報)に公表した。

   将来の妊娠・出産に影響を与える心配もあるため、保護者や小児科医に注意を呼びかけている。

  • 公園の噴水には思わぬ危険が
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浴槽の中で飛び跳ね「処女膜」が破れた

   「傷害速報」とは、同学会の「こどもの生活環境改善委員会」が、玩具を飲みこみ窒息死するなど事故が起こるたびに注意を喚起するため、事故の詳細な内容を報告するもの。今回公表された少女の性器周辺の外傷事故は次の3つだ。

【事例1】少女の年齢は4歳1か月。場所は市立公園の噴水広場。

   市立公園のバラ園にある噴水広場は、立ち入り禁止となっているが、多くの子どもたちが遊んでいた。少女も父母と一緒に遊んでおり、噴水の出る金属筒をまたいでいると、急に水が噴き出て会陰部(えいんぶ・膣口から肛門までの間)を直撃した。流血が止まらず、慌てて近くの医院を受診した。そこでは止血が困難だったため、総合病院産婦人科へ救急搬送した。

   産婦人科医が診察すると、膣の最も奥にある子宮入り口の「後腟円蓋(こうしつえんがい)」から動脈出血していた。バイポーラー(電気ピンセット)で焼却止血し、膣内にガーゼを入れ圧迫止血をした。それでも出血が止まらないため入院した。貧血と微熱が続いたが、3日目には出血が収まり、全身の状態が改善したので退院することができた。

【事例2】6歳3か月。ホテルのプールのジャグジー付近。

   少女は子ども数人と一緒に、ホテルのプール内に設置されているジャグジー水流を利用して遊んでいた。少女の両親はプールを観察できる範囲にいたが、少女のそばにはいなかった。子どもたちは、ジェット水流の出口付近に集まり、水流の圧力によって浮き輪が押されて進む遊びを楽しんでいた。

   ちょうど少女がジェット水流の出口近くにいた時に、誰かが水流の勢いを増すボタンを押したため、水流が一気に少女の陰部を直撃した。少女は号泣した。両親が飛んできてプールサイドから見ると、少女の下半身から出血していた。いったん出血が止まったので自宅に帰った。しかし、3日後に再び出血したため救急外来を受診した。

   医師が診察すると、小陰唇(尿道・膣口の両脇にあるひだ)に裂傷があった。幸い、縫合が必要なほどの傷ではなかった。その後、出血はなく、排尿も問題なく行えたため自宅での経過観察となり自然軽快した。

【事例3】3歳8か月。自宅の風呂場の浴槽の中。

   少女は母親と姉(8歳)との3人で入浴していた。母親は洗い場で洗髪などをし、少女と姉は浴槽内で遊んでいた。少女が、子ども用の手桶を浴槽の底に横向きに置き、手桶の柄の部分にまたがるように正座をしながら跳ねたところ、柄の部分が陰部にぶつかった。少女は激しく号泣した。母親が少女を抱きかかえると下半身から出血していた。

   近くの小児科を受診すると、会陰部外傷と診断された。しかし、そこでは止血できなかったため総合病院に救急搬送された。産婦人科医が診察すると、小陰唇や膣内に裂傷があり、処女膜が損傷していた。縫合できる状態ではなかったため、被覆材やガーゼによる圧迫止血を1時間近く行なった。1日の入院で出血は収まった。排泄に問題がないことを確認し退院した。

プールのウォーター滑り台でも下半身にケガをする

   今回の公表について、「こどもの生活改善員会」は事例解説のコメント欄にこう述べている(要約抜粋)。

(1)子どもの性器周辺の外傷事故は男子より女子の方が多い。4~7歳の子は自転車のサドルや家具などにぶつかる事故が多い。それより幼い女の子の場合は、家の中でケガをする例が多いのが特徴だ。木馬などにまたがって会陰部を受傷する「またがり外傷」に注意しよう。

(2)処女膜損傷や膣外傷は、少女の場合、「性虐待」を想起するが、今回のようにジャグジーのジェット水流や公園の噴水の例が海外でも多く報告されており、小児科医は鑑別のために知っておく必要がある。海外では水上スキーや水上バイク、プールのウォーター滑り台で外傷を負う例も少なくない。

(3)浴室は滑りやすく、子どもは裸なので、硬い物が直接ぶつかりやすい。性器周辺の外傷患者は数日たってから受診するケースが大半なので、実際はもっと頻繁に事故が発生していると思われる。浴室内で使う用具は転倒してぶつかっても危なくない構造の物を選びたい。

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