インフル薬すべてに異常な行動の危険性が
こうした例は10~18歳に多く、インフル発症後2日以内に起きやすい。そこで、厚生労働省は2007年に予防安全対策として、医療機関に次のような通達を出した。
(1)薬との因果関係は不明だが、異常行動が発現されているため、インフルの合併症のリスクが高い患者を除き、タミフルの使用を控える。
(2)「タミフル」を使用した場合は、患者とその家族に対し、異常行動をとる恐れがあることを伝え、少なくとも2日間は患者1人にならないよう説明する。
ところが、「異常行動」はタミフルだけではなかった。その後、今回問題になったリレンザやイナビルでも同様の事故の報告が相次いだ。厚生労働省の「インフルエンザQ&A」の中の「Q:タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合にも、異常行動(急に走り出す、ウロウロする等)は起きますか? 医薬品を服用しない場合にも異常行動が起きる可能性はありますか?」では、こう答えている(要約抜粋)。
「A:タミフルのほかに抗インフルエンザウイルス薬に、リレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等がありますが、これらの服用後にも、急に走り出す等の異常行動の発生が認められます。また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが報告されています。自宅で療養する時は、少なくとも発症から2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮してください」
実際、製薬会社が添付しているリレンザの使用説明書には「この薬の使用後に異常行動などの精神神経症状を発現した例が報告されています」という注意書きがあり、イナビルの使用説明書にも「突然走り出す、飛び降り、その他事故につながったり、他人に危害を加えたりする可能性のある行動も報告されています」と書かれている。