三菱重工と日立の泥仕合 壮絶な「責任の押し付け合い」

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事業統合した名門企業同士がいがみ合う異例の事態

   両社は協議内容の詳細を明らかにしていないが、三菱重工は「統合時点で既に見込まれていた損失であり、日立が支払うべきだ」と主張。一方の日立は、MHPSが進めているプロジェクトであり、日立だけが負担するのはおかしい――との立場のようだ。

   三菱重工は2016年3月、約3790億円を日立に請求。そして17年1月末には、「統合時点での収支見積もりなどを精緻化した結果」として、請求額をほぼ倍に引き上げた。両社とも「協議を継続する」としているが、主張は平行線のまま。事業統合した名門企業同士がいがみ合う異例の事態となっている。

   三菱重工は日立から支払いを受けることを前提に、請求額の一部を資産として財務諸表に計上している。もし、日立から支払いを受けられなければ、将来損失が生じることになる。一方、日立は支払いに備え、「合理的に見積もった額を引き当てている」と説明しているが、今回請求された7600億円もの金額をすべて引き当てているとは考えにくい。もし、引き当て分を上回る支払いをすることになれば、やはり将来損失が生じる。市場では「どう決着するのか見通せないが、両社とも財務悪化リスクを抱えている状況だ」(アナリスト)との声が出ている。

   MHPSは現在、工事の進捗管理を強化しているが、巨大プロジェクトでもあり、業界や市場では「今後も損失が増えるのではないか」との懸念もくすぶる。今回の問題は東芝の原発ほどではないが、海外の巨大プロジェクトのリスクを改めて見せつけたといえそうだ。

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