Cultural appropriationとWhitewashing
「Cultural appropriation」は、ある文化圏の人々が異なる文化を搾取的に利用すること。特に、マイノリティの文化が本来の意味や伝統を理解されないまま、娯楽的・商業的に使われる際に用いられる。「Whitewashing」は、白人以外の役柄を白人俳優が演じることを指し、多くは人種差別的な意味合いで使われる。
どちらも日本ではあまり馴染みのないものだが、多様な人種が暮らすアメリカ国内――特にハリウッドではたびたび物議を醸す問題だ。
今回の件では、日本文化を独自の解釈で扱ったこと、とりわけ欧米人の持つステレオタイプな日本のイメージ=芸者をデフォルメして扱ったことは「文化の盗用」であり、日本に縁のない白人モデルであるカーリーさんを起用したことは「ホワイトウォッシング」である...と受け取られたようだ。
実際、米国のネットユーザーからは
「『文化の盗用』はアジア人にも適用されるんだよ!うんざりする」
「なぜ白人モデルなの?世界で日本人モデルが不足してるの?」
と、日本とは異なる声がいくつも寄せられており、カーリーさんの謝罪もこうした批判に答えたもののようだ。
ちなみにVOGUE3月号のテーマは「多様性」。表紙を飾るのは肌の色や体型の異なる7人の女性モデルだった。米ファッションサイト「THE CUT」は、今回の騒動について次のように論評している。
「ヴォーグ3月号は『多様性』をテーマにしているが、そのコンセプトが実際に意味することを誤解しているようだ。1つ確かなのは、多様性を持つことは、カーリー・クロスを芸者にスタイリングすることではないということだ」(15日配信記事冒頭より)