「必ず味方になってくれる人がいます」「絶対に自ら命を絶ったりしないでください!」。いじめを苦にした中学生らの相次ぐ自殺を受けて、福島県飯舘村教委がホームページ上でこんなメッセージを載せて、ツイッター上で反響を呼んでいる。
「みなさんは悩みを抱えていませんか」。2017年2月14日付のメッセージでは、「飯舘村の子どもたちへ」と題して、中井田榮教育長名でこう呼びかけた。
「わかりやすい」「なんか辛くなってくる」
福島県内では、17年に入って早々、いじめを苦にした自殺が立て続けに2件も報じられている。
1つ目は、須賀川市立中学1年の男子生徒が1月27日に自宅で首を吊って亡くなっていた。いじめ被害を訴えていたといい、市教委が2月7日に発表した。もう1つは、南相馬市立中学2年の女子生徒がいじめを受けたとして2月11日に自宅で首を吊った状態で見つかったもので、13日に発表されている。
メッセージでは、2件の自殺について触れ、「もし、悩んでいることがあったならば、すぐに家族や学校の先生、友達などに相談してください」と訴えた。味方になる人は必ずいると強調したうえで、「もし、どうしても見つからなかったら、飯舘村教育委員会に連絡してください。みなさんを全力でサポートします」として、絶対に命を絶たないでほしいと書き込んだ。
「保護者のみなさまへ」と題した文もあり、子供に変化などを感じたらすぐに行動するべきとアドバイスし、身近な相談者がいないときは飯舘村教委に連絡してほしいとしている。
ツイッター上でメッセージが紹介されると、リツイートなどが相次ぎ、「とてもわかりやすい」「なんか辛くなってくるな・・」などと感想が書き込まれている。中には、「こんなメッセージを出さなくてはならない社会になってしまったなんて・・・」「寂しい国になっちゃったよ」といった嘆きの声も漏れていた。
原発事故避難生徒のいじめがきっかけ
実は、飯舘村教委では、16年12月2日に村の子供やその保護者に向けて同様なメッセージを中井田教育長名でホームページ上に公開していた。このときは、原発事故で福島県から横浜市に避難した中学1年の男子生徒がいじめを苦にして不登校になったことを受けたものだった。
一連のメッセージを出した理由について、村教委の教育課では、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明する。
「福島や横浜で被害に遭ったという子供たちが、飯舘村出身だったというわけではありません。村から県内を含めて全国に避難しているため、村の子供たちにも被害がありうることを危惧してメッセージにしたということです」
村出身の子供がいじめに遭ったという被害についても、これまで聞いていないという。
メッセージを出してからも、村の子供や保護者からいじめを訴える村教委への連絡も特にないとしている。ただ、メッセージとは別に、友人関係や不登校などの悩みの相談は、年に数件ほどは寄せられており、スクールカウンセラーらが対応に当たっているそうだ。
飯舘村では、村外への避難が17年3月末で一部を除いて解除されるのに合わせ、18年4月から村内の学校を再開させる方針だ。ただ、50億円以上かけて幼保一体型「こども園」や小中学校などを整備するというが、放射能汚染の影響を気にして村内の学校への希望者は少なく、再開延期の要望が出ているとも報じられている。
教育課でも、それを認め、「こども園」では5人ほど、小中学校では計50人ほどしか希望者がいないとした。「子供たちが村に戻って来ないのは深刻」だという。ただ、子どもたちに戻ってもらうために今回のメッセージを出したわけではないとしている。